2026年 国家総合職 問題5
憲法国会の地位と構成
【No. 5】国会議員に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
ア.正答
議員は、その所属する議院に議案を発議する権能を有している。予算を伴う法律案については、衆議院では50人以上、参議院では20人以上の議員の賛成があれば発議することができ、それ以外の議案については、衆議院では20人以上、参議院では10人以上の議員の賛成があれば発議することができる。
要点議案の発議には、衆議院20人以上、参議院10人以上の議員の賛成が要る。
妥当である。議員が議案を発議するには、衆議院では議員20人以上、参議院では議員10人以上の賛成が必要です。予算を伴う法律案の発議には、衆議院では議員50人以上、参議院では議員20人以上の賛成が必要です(国会法56条1項)。
人数は法律で決めたものなので、次のように整理して覚えます。
予算を伴う法律案:衆議院50人以上・参議院20人以上
それ以外の議案:衆議院20人以上・参議院10人以上
【国会法 第56条第1項】
第五十六条 議員が議案を発議するには、衆議院においては議員二十人以上、参議院においては議員十人以上の賛成を要する。但し、予算を伴う法律案を発議するには、衆議院においては議員五十人以上、参議院においては議員二十人以上の賛成を要する。
イ.誤答
国会議員は、国会会期中に逮捕されない特権を有するが、ここでいう逮捕とは、刑事訴追上の逮捕、勾引又は勾留を意味し、心身の安全のために実施される、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律上の措置入院は含まれないと一般に解されている。
要点不逮捕特権の「逮捕」には、行政上の身体の拘束も含まれると解されている。
妥当でない。通説では、憲法50条の「逮捕」は、刑事訴訟法上の逮捕、勾引、勾留に限らず、精神保健福祉法による措置入院のような行政上の身体の拘束も含むと解されています。
不逮捕特権は、政府などが議員の身体を拘束して、議員の職務の遂行を妨げることを防ぐための特権です。そのおそれは、身体の拘束が刑事手続によるか行政上の措置によるかで変わらないからです。
【日本国憲法 第50条】
第五十条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
ウ.正答
国会議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生じるものではなく、国の責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とは無関係に違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、あえて虚偽の事実を摘示するなどの特別の事情があることを必要とする。
要点国会議員の発言で国賠責任が生じるには、権限の趣旨に背く特別の事情が要る。
妥当である。判例は、国会議員が国会の質疑等でした発言によって国の損害賠償責任が肯定されるには、職務とかかわりなく違法又は不当な目的で事実を摘示し、あるいは虚偽と知りながらあえて摘示するなど、付与された権限の趣旨に明らかに背いて行使したと認め得るような特別の事情が必要だとしました(最判平9.9.9)。
判例は、質疑等でどの問題をどう取り上げるかは、国会議員の政治的判断を含む広い裁量に委ねられるとし、その裁量は職権の行使を十分にさせるためのものなので、職務と無関係に権利を侵害する行為までは許されないと考えました。
【最判平9.9.9 判決理由】
もっとも、国会議員に右のような広範な裁量が認められるのは、その職権の行使を十全ならしめるという要請に基づくものであるから、職務とは無関係に個別の国民の権利を侵害することを目的とするような行為が許されないことはもちろんであり、また、あえて虚偽の事実を摘示して個別の国民の名誉を毀損するような行為は、国会議員の裁量に属する正当な職務行為とはいえないというべきである。
エ.誤答
国会議員に免責特権が認められているのは、院内での言論の自由を保障し、国会活動を助長するためであるから、内閣総理大臣や国会議員である国務大臣が閣僚として行った演説や討論についても免責特権が及ぶことが憲法に明文で規定されている。
要点免責特権は議員としての院内の発言についてで、国務大臣としての発言の明文はない。
妥当でない。憲法51条は、両議院の議員が議院で行った演説、討論又は表決について院外で責任を問われないと定めるだけで、国務大臣が閣僚として行った演説や討論に免責特権が及ぶという明文の規定はありません。通説では、国務大臣として行った発言には免責特権は及ばないと解されています。
免責特権は、国民の代表である議員が、議院で自由に発言し表決できるようにするための特権です。国務大臣として行う発言は、内閣の一員としての職務で、議員の職務とは性質が違うからです。
【日本国憲法 第51条】
第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和8年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.5
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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