2026年 国家総合職 問題26
民法連帯債務・保証
【No. 26】保証に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
1.誤答
債権者が保証人に対して履行の請求をしたことによって保証債務について時効の更新がされた場合、特段の合意がなくとも、その更新の効力は主たる債務に対しても及ぶ。
要点保証人に対する請求による時効の更新は、主たる債務には及ばない。
妥当でない。主たる債務者に対する履行の請求などによる時効の完成猶予及び更新は、保証人にも効力を生じます(民法457条1項)。しかし、その逆に、保証人に対する請求による更新は、主たる債務には及びません。連帯保証人の場合も、履行の請求は相対的な効力しか持ちません(458条、441条)。
保証債務は主たる債務を担保するために付き従うもので、主たる債務の運命に従いますが、主たる債務が保証債務の運命に従うわけではないからです(付従性)。
【民法 第441条】
(相対的効力の原則)
第四百四十一条 第四百三十八条、第四百三十九条第一項及び前条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。
【民法 第457条第1項】
(主たる債務者について生じた事由の効力)
第四百五十七条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
【民法 第458条】
(連帯保証人について生じた事由の効力)
第四百五十八条 第四百三十八条、第四百三十九条第一項、第四百四十条及び第四百四十一条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。
2.誤答
事業のために負担する債務を主たる債務とする保証契約を締結する場合、契約締結に先立って、債権者は、保証人に対して、主たる債務者の財産及び収支の状況に関する情報を提供しなければならない。
要点事業債務の保証の委託をするとき、情報提供義務を負うのは主たる債務者である。
妥当でない。事業のために負担する債務を主たる債務とする保証を委託するときに、委託を受ける者に、財産及び収支の状況などの情報を提供しなければならないのは、債権者ではなく主たる債務者です(民法465条の10第1項)。この義務は、保証人が法人の場合には適用されません(同条3項)。
主たる債務者の財産や収支の状況を最もよく知っているのは、主たる債務者自身です。個人が、リスクをよく知らないまま事業の債務の保証人になることを防ぐため、委託する者に情報を提供させることにしているのです。
【民法 第465条の10第1項・第3項】
(契約締結時の情報の提供義務)
第四百六十五条の十 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
一 財産及び収支の状況
二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容
3 前二項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない。
3.誤答
保証人が債権者に弁済をした場合、その保証人は主たる債務者に対して求償権を取得するが、その求償権の範囲は、主たる債務者から委託を受けないで保証をした場合と、主たる債務者から委託を受けて保証をした場合とで同一である。
要点保証人の求償権の範囲は、委託の有無によって異なる。
妥当でない。委託を受けた保証人は、債務を消滅させるために支出した財産の額などを求償できます(民法459条1項)。一方、委託を受けない保証人は、債務を消滅させた当時主たる債務者が利益を受けた限度で求償でき(462条1項)、主たる債務者の意思に反して保証した者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度でしか求償できません(同条2項)。委託の有無で範囲は異なります。
委託を受けた保証人は、主たる債務者の頼みで保証したので、頼んだ側が支出を負担するのが公平です。頼まれずに保証した人は、主たる債務者が利益を受けた範囲で返してもらえば足りるのです。
【民法 第459条第1項】
(委託を受けた保証人の求償権)
第四百五十九条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する。
【民法 第462条第1項・第2項】
(委託を受けない保証人の求償権)
第四百六十二条 第四百五十九条の二第一項の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する。
2 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
4.誤答
個人根保証契約を締結する場合には、保証人保護のため、極度額及び元本確定期日の双方を定めなければならず、これらの定めの一方を欠く場合には、保証契約は無効となる。
要点個人根保証は極度額の定めが必要だが、元本確定期日を欠いても無効ではない。
妥当でない。個人根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じません(民法465条の2第2項)。しかし、元本確定期日の定めは必須ではなく、主たる債務に貸金等債務を含む個人貸金等根保証契約で定めがないときは、締結の日から3年を経過する日が元本確定期日となります(465条の3第2項)。
極度額は、保証人が負う責任の上限を契約の時点で明らかにし、予想外に重い負担を負わせないためのものなので、欠かせません。元本確定期日は、定めがなくても法律が期間を補えば、保証人の責任が際限なく続くことは防げるからです。
【民法 第465条の2第2項】
(個人根保証契約の保証人の責任等)
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
【民法 第465条の3第2項】
(個人貸金等根保証契約の元本確定期日)
2 個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から三年を経過する日とする。
5.正答
保証人となる者が個人であっても法人であっても、保証契約の締結に当たっては書面又はその内容を記録した電磁的記録によらなければならず、その要件を欠く場合には、保証契約は無効となる。
要点保証契約は、保証人が個人か法人かを問わず、書面でしなければ効力を生じない。
妥当である。保証契約は、書面でしなければ効力を生じません(民法446条2項)。その内容を記録した電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされます(同条3項)。保証人が個人か法人かで区別はありません。
保証は、保証人が見返りなしに他人の債務を負う、負担の重い契約です。書面を要求することで、保証人に慎重に考えさせ、保証の意思を明確にさせるのです。
【民法 第446条第2項・第3項】
(保証人の責任等)
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和8年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.26
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 振り仮名を除いています。
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