2026年 国家総合職 問題18
行政法地方自治
【No. 18】地方公共団体への国の関与に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
地方自治法は、国と地方公共団体を、役割を分担する対等な関係として位置付けています。そこで、国の関与は、法律又はこれに基づく政令に根拠があるときに限られ(関与の法定主義。245条の2)、目的を達成するために必要な最小限度のものでなければなりません。
強い関与ほど、使える場面と手順が厳しく定められています。是正の指示のような関与に地方公共団体が従わない場合も、国は直接に強制するのではなく、裁判所の判断を経る仕組みになっています。
【地方自治法 第245条の2】
(関与の法定主義)
第二百四十五条の二 普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。
ア.誤答
都道府県の法定受託事務は、都道府県が処理する事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして特に定められたものであるから、国は、その処理に関し、法律、これに基づく政令若しくは省令又は通達を根拠として、関与を行うことができる。
要点国の関与は、法律又はこれに基づく政令を根拠とするものに限られる。
妥当でない。法定受託事務についても、国の関与を受けるのは、法律又はこれに基づく政令によるときに限られます(関与の法定主義。地方自治法245条の2)。省令や通達を根拠に関与することはできません。
国と地方公共団体は対等な関係にあるので、地方公共団体の事務に国が口を出せる場面は、国会が定める法律と、それに基づく内閣の政令で明確にしておく必要があります。各省が定める省令や通達だけで関与を広げることは、この考え方に反するのです。
イ.正答
都道府県の法定受託事務の処理が各大臣の所管する法令の規定に違反していると認められるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認められるときは、各大臣は、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講じるべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
要点各大臣は、法定受託事務の処理が違法等のとき、都道府県に是正の指示ができる。
妥当である。各大臣は、都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、その都道府県に対し、是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができます(地方自治法245条の7第1項)。
法定受託事務は、本来国が果たすべき役割に係る事務で、国がその適正な処理を特に確保する必要があるものです。そのため、自治事務に対する是正の要求よりも強い、具体的な措置を指示する関与が認められています。
【地方自治法 第245条の7第1項】
(是正の指示)
第二百四十五条の七 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
ウ.誤答
都道府県知事の法定受託事務の管理又は執行が、各大臣の所管する法令の規定又は当該各大臣の処分に違反するものである場合において、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、各大臣は、直ちに、高等裁判所に対し、訴えをもって、当該都道府県知事が当該違反を是正するための措置を行うべきことを命じる旨の裁判を請求することができる。
要点代執行の訴えの前には、勧告と指示を経なければならない。
妥当でない。代執行の手続では、各大臣は、まず文書で是正を勧告し(地方自治法245条の8第1項)、従わないときは指示をし(同条2項)、それでも従わないときに初めて、高等裁判所に訴えを提起できます(同条3項)。直ちに訴えを提起することはできません。また、他の方法では是正を図ることが困難であることも要件です(同条1項)。
代執行は、国が都道府県知事に代わって事務を行う、最も強い関与です。地方公共団体の自主性を尊重するため、段階を踏み、裁判所の判断も経ることにしているのです。
【地方自治法 第245条の8第1項・第2項・第3項】
(代執行等)
第二百四十五条の八 各大臣は、その所管する法律若しくはこれに基づく政令に係る都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項から第八項までに規定する措置以外の方法によつてその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきことを勧告することができる。
2 各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに同項の規定による勧告に係る事項を行わないときは、文書により、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示することができる。
3 各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに当該事項を行わないときは、高等裁判所に対し、訴えをもつて、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。
エ.正答
都道府県の法定受託事務の処理について是正の指示を行った各大臣は、当該都道府県の知事その他の執行機関が当該是正の指示に関して国地方係争処理委員会への審査の申出をせず、かつ、当該是正の指示に係る措置を講じないときは、高等裁判所に対し、訴えをもって、当該都道府県の不作為の違法の確認を求めることができる。
要点是正の指示に審査の申出も措置もしないときは、不作為の違法確認訴訟を提起できる。
妥当である。是正の指示を行った各大臣は、都道府県が国地方係争処理委員会への審査の申出をせず、かつ、指示に係る措置を講じないときは、高等裁判所に対し、その都道府県の不作為の違法の確認を求めることができます(地方自治法251条の7第1項1号)。
関与に不服がある地方公共団体は、審査の申出をして争うことができます。それもせず、指示にも従わない状態が続くと違法状態が放置されるので、国の側から裁判所の判断を求める途を設けているのです。
【地方自治法 第251条の7第1項】
(普通地方公共団体の不作為に関する国の訴えの提起)
第二百五十一条の七 第二百四十五条の五第一項若しくは第四項の規定による是正の要求又は第二百四十五条の七第一項若しくは第四項の規定による指示を行つた各大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該是正の要求又は指示を受けた普通地方公共団体の不作為(是正の要求又は指示を受けた普通地方公共団体の行政庁が、相当の期間内に是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じなければならないにもかかわらず、これを講じないことをいう。以下この項、次条及び第二百五十二条の十七の四第三項において同じ。)に係る普通地方公共団体の行政庁(当該是正の要求又は指示があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもつて当該普通地方公共団体の不作為の違法の確認を求めることができる。
一 普通地方公共団体の長その他の執行機関が当該是正の要求又は指示に関する第二百五十条の十三第一項の規定による審査の申出をせず(審査の申出後に第二百五十条の十七第一項の規定により当該審査の申出が取り下げられた場合を含む。)、かつ、当該是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じないとき。
(略)
この問題について
- 出典
- 人事院「令和8年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.18
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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