2026年 国家総合職 問題11
行政法行政手続法
【No. 11】行政手続法が規定する申請に対する処分の手続に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜オ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益を守ることを目的としています(1条1項)。申請に対する処分の手続(5条〜11条)は、この目的を具体化したものです。
それぞれの規定が「しなければならない」(義務)か、「努めなければならない」(努力義務)かを区別して覚えます。行政庁に一律に求めることができ、申請者の権利利益への影響が大きい手続ほど、義務とされています。
【行政手続法 第1条第1項】
(目的等)
第一条 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
ア.誤答
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めなければならず、当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により当該期間を公にするよう努めなければならない。
要点標準処理期間を定めるのは努力義務で、定めたときに公にするのは義務である。
妥当でない。標準処理期間を定めることは努力義務で、定めたときに公にしておくことは義務です(行政手続法6条)。肢は、義務と努力義務が逆になっています。
処理にかかる期間は申請の種類によって幅があり、一律に定めさせることが難しいものもあるので、定めること自体は努力義務にしました。一方、定めた期間を公にしておくことは容易で、申請者の見通しのために欠かせないので、義務にしています。
【行政手続法 第6条】
(標準処理期間)
第六条 行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。
イ.誤答
行政庁は、処分の適正を確保するため、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが社会通念上相当であると認められる場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
要点公聴会等は、他者の利害の考慮が法令上の要件となる処分での努力義務である。
妥当でない。公聴会の開催などに努めなければならないのは、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが、「社会通念上相当であると認められる場合」ではなく、当該法令において許認可等の要件とされている処分を行う場合です(行政手続法10条)。
第三者の利害を考えることが法令上の要件になっているなら、その利害を知るための手続が審査に必要になります。要件になっていない利害まで聴くよう求めると、行政庁の判断の範囲が不明確になるからです。
【行政手続法 第10条】
(公聴会の開催等)
第十条 行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
ウ.正答
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときに当該処分の理由を示せば足りる。
要点拒否処分は同時に理由を示すが、基準不適合が明白なら求めに応じて示せば足りる。
妥当である。申請を拒否する処分をするときは、同時に理由を示さなければなりません。ただし、要件や審査基準が数量的指標などで明確に定められ、申請がこれに適合しないことが申請書の記載などから明らかなときは、申請者の求めがあったときに示せば足ります(行政手続法8条1項)。
理由の提示は、行政庁の判断を慎重にさせ、申請者が不服を申し立てる手がかりを与えるためのものです。不適合が書類から一目で分かる場合には、すぐに示さなくてもこの目的は損なわれにくいので、求めに応じて示せばよいとしています。
【行政手続法 第8条第1項】
(理由の提示)
第八条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
エ.正答
行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。また、行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。
要点審査の進行状況などの情報提供は、行政庁の努力義務である。
妥当である。行政庁は、申請者の求めに応じ、審査の進行状況と処分の時期の見通しを示すよう努めなければならず(行政手続法9条1項)、申請をしようとする者などの求めに応じ、申請に必要な情報の提供に努めなければなりません(同条2項)。いずれも努力義務です。
情報の提供は申請者の便宜のためのものですが、求めの内容や行政庁の事務の状況はさまざまなので、一律の義務にはせず、努力義務にしています。
【行政手続法 第9条】
(情報の提供)
第九条 行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。
2 行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。
オ.誤答
行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。また、申請者の様々な事情に対応し得るよう、審査基準の内容は、一般的かつ抽象的なものとしなければならない。
要点審査基準は公にしておく義務があり、できる限り具体的なものとしなければならない。
妥当でない。審査基準を公にしておかなければならないとする前半は正しい内容です(行政手続法5条3項)。しかし、審査基準は、「一般的かつ抽象的なもの」ではなく、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければなりません(同条2項)。
審査基準は、申請者が処分の見通しを立て、行政庁が恣意的な判断をしないようにするためのものです。抽象的な基準では、その役割を果たせないからです。
【行政手続法 第5条第2項・第3項】
(審査基準)
2 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和8年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.11
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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