2026年 国家一般職 問題25
民法その他の担保物権
【No. 25】担保物権の効力及び性質に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
担保物権の性質は、どれも、担保物権が債権の弁済を確保するための権利であることから出てきます。ただし、次の違いによって、性質があるかどうかが分かれます。
働き方の違い:物の価値から優先して弁済を受けるもの(先取特権・質権・抵当権)と、物を手元に留めて弁済を促すだけのもの(留置権)があります。
担保する債権が決まっているか:根抵当権は、元本が確定するまで、特定の債権ではなく、一定の範囲の債権を担保する枠です。
ア.誤答
被担保債権が第三者に譲渡されると、担保物権もこれに伴ってその第三者に当然に移転するという性質を担保物権の随伴性という。確定前の根抵当権は、随伴性を有する。
要点元本の確定前の根抵当権には、随伴性がない。
妥当でない。随伴性の説明は合っていますが、元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使できません(民法398条の7第1項)。確定前の根抵当権には、随伴性がありません。
根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額まで担保する枠です(398条の2第1項)。確定前は個々の債権と結びついていないので、債権が譲渡されても、根抵当権はついていきません。
【民法 第398条の7第1項】
(根抵当権の被担保債権の譲渡等)
第三百九十八条の七 元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。
【民法 第398条の2第1項】
(根抵当権)
第三百九十八条の二 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
イ.誤答
担保物権の目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、担保権者はその権利を行使できるという性質を担保物権の物上代位性という。留置権は、物上代位性を有する。
要点留置権には、物上代位性がない。
妥当でない。物上代位性の説明は合っていますが、留置権には物上代位性がありません。物上代位を定める民法304条は、先取特権のほか、質権(350条)と抵当権(372条)に準用されていますが、留置権には準用されていません。
物上代位は、目的物が代金などに形を変えたとき、その代わりの物から優先して弁済を受けるものです。留置権は物を手元に留めるだけで、優先弁済を受ける権利がないので、代わりの物に効力を及ぼす意味がありません。
【民法 第304条第1項】
(物上代位)
第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
【民法 第350条】
(留置権及び先取特権の規定の準用)
第三百五十条 第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。
【民法 第372条】
(留置権等の規定の準用)
第三百七十二条 第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
ウ.正答
被担保債権の全部の弁済を受けるまでは、担保権者が担保物権の目的物の全部についてその権利を行使することができるという性質を担保物権の不可分性という。質権は、不可分性を有する。
要点質権には、不可分性がある。
妥当である。担保物権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、目的物の全部について権利を行使できます(民法296条)。この規定は質権にも準用されるので(350条)、質権は不可分性を持ちます。抵当権にも準用されます(372条)。
債権の一部が残っている限り物の全部に効力を及ぼすことで、残りの債権についても担保の力を保っています。
【民法 第296条】
(留置権の不可分性)
第二百九十六条 留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。
【民法 第350条】
(留置権及び先取特権の規定の準用)
第三百五十条 第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。
【民法 第372条】
(留置権等の規定の準用)
第三百七十二条 第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
エ.正答
被担保債権が弁済されない場合に、担保権者が担保物権の目的物を換価し、その換価金から他の債権者に優先して弁済を受けることができるという効力を担保物権の優先弁済的効力という。先取特権は、優先弁済的効力を有する。
要点先取特権には、優先弁済的効力がある。
妥当である。先取特権者は、債務者の財産について、ほかの債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を持ちます(民法303条)。先取特権は、優先弁済的効力を持ちます。
先取特権は、物を手元に留める権利ではなく、法律が定める債権に優先して弁済を受けさせることで回収を確保する権利なので、優先弁済的効力がその中心です。これに対し、留置権には優先弁済的効力がありません。
【民法 第303条】
(先取特権の内容)
第三百三条 先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和8年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.25
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
- 人事院など試験の実施機関とは関係のない、非公式の問題集です。解説は当サイトが作成しています。出典と著作権について:利用規約 第6条
読んで分かったら、次は解いて確かめませんか
解説を読んで分かったつもりでも、自分で解くと迷うことがあります。読み直すより、解いて思い出すほうが記憶に残りやすいとされています。
- 国家一般職・国家総合職の憲法・民法・行政法を、2023〜2026年の173問から解けます。
- 試験通りの5択でも、選択肢を1つずつ判断する形式でも解けます。
- 年度や分野を選んで、続けて解けます。
登録しなくても、すぐ解き始められます。