2026年 国家一般職 問題22
民法無効・取消し・条件・期限
【No. 22】民法上の条件及び期限に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
条件と期限は、どちらも法律行為の効力などを将来の事実にかからせる定め(特約)ですが、その事実が起きるかどうかが確実かで区別されます。
条件:起きるかどうか分からない事実(例:試験に合格したら)
期限:いつかは必ず起きる事実(例:来月1日が来たら、ある人が死亡したら)
条件には、成就すると効力が生じる停止条件と、成就すると効力が失われる解除条件があります。期限には、到来すると履行を請求できるようになる始期と、到来すると効力が失われる終期があります。
1.誤答
条件とは、法律行為の効力を将来発生するか否か不確実な事実の成否にかからせる特約をいい、私的自治の原則から、婚姻などの身分行為にも条件を付すことができると一般に解されている。
要点婚姻などの身分行為には、条件を付けることができない。
妥当でない。条件の意味は本肢のとおりですが、婚姻や養子縁組などの身分行為には、条件を付けることができないと一般に解されています。
身分関係は、本人だけでなく、子や社会との関係の基礎になるので、確実で安定している必要があります。条件を付けると、夫婦や親子の関係があるのかないのかが不確実な状態が続いてしまうので、公序良俗に反し許されないとされています。私的自治の原則は財産上の取引には広く及びますが、身分行為には限界があります。
2.正答
条件が法律行為の時に既に成就していた場合、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件となり、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効となる。
要点既成条件が停止条件なら無条件、解除条件なら無効となる。
妥当である。条件が法律行為の時に既に成就していた場合、停止条件であるときは無条件、解除条件であるときは無効となります(民法131条1項)。
停止条件は、成就すると効力が生じる条件なので、初めから成就していれば、条件を付けなかったのと同じく効力が生じます。解除条件は、成就すると効力が失われる条件なので、初めから成就していれば、効力を持つ余地がありません。
【民法 第131条第1項】
(既成条件)
第百三十一条 条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。
3.誤答
停止条件付贈与契約の目的物を贈与者が毀損したり、第三者に譲渡したりしても、条件の成否が未定の間は契約の効力は発生していないため、贈与を受けることとなる者は、贈与者に損害賠償を請求することはできない。
要点条件付贈与の目的物を毀損した贈与者は、損害賠償責任を負う。
妥当でない。条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができません(民法128条)。贈与者が目的物を壊したり第三者に譲ったりすれば、贈与を受けることとなる者に損害賠償責任を負います。
条件付きの権利は、まだ効力が生じていなくても、成就すれば利益を得られるという期待として保護され、処分や相続もできます(129条)。成就の前に相手が目的物をなくしてしまえるとすると、この期待は意味を失います。
【民法 第128条】
(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)
第百二十八条 条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。
【民法 第129条】
(条件の成否未定の間における権利の処分等)
第百二十九条 条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。
4.誤答
期限とは、法律行為の効力を将来発生することが確実な事実にかからせる特約をいい、契約に別段の定めがない限り、期限は両当事者の利益のために定めたものと推定される。
要点期限は、債務者の利益のために定めたものと推定される。
妥当でない。期限の意味は本肢のとおりですが、期限は、債務者の利益のために定めたものと推定されます(民法136条1項)。両当事者の利益のためではありません。
例えば、お金を借りた人は、返済期限まで返さなくてよいという利益を受けます。期限によって利益を受けるのは、ふつうは履行を待ってもらえる債務者なので、そう推定しています。期限の利益は放棄できますが、相手方の利益を害することはできません(同条2項)。
【民法 第136条】
(期限の利益及びその放棄)
第百三十六条 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
2 期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。
5.誤答
債務者の期限の利益は、債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたときには主張することができないが、債務者が成年後見開始の審判や破産手続開始の決定を受けたときには主張することができる。
要点破産手続開始の決定を受けた債務者は、期限の利益を主張できない。
妥当でない。債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたときのほか、破産手続開始の決定を受けたときも、期限の利益を主張できません(民法137条)。成年後見開始の審判は、期限の利益を失う事由ではありません。
期限の利益は、債務者が期限に支払うと信用して与えられるものです。破産や担保をなくす行為は、その信用の基礎を失わせるので、債権者に期限まで待たせる理由がなくなります。
【民法 第137条】
(期限の利益の喪失)
第百三十七条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和8年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.22
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 振り仮名を除いています。
- このサイトについて
- 人事院など試験の実施機関とは関係のない、非公式の問題集です。解説は当サイトが作成しています。出典と著作権について:利用規約 第6条
読んで分かったら、次は解いて確かめませんか
解説を読んで分かったつもりでも、自分で解くと迷うことがあります。読み直すより、解いて思い出すほうが記憶に残りやすいとされています。
- 国家一般職・国家総合職の憲法・民法・行政法を、2023〜2026年の173問から解けます。
- 試験通りの5択でも、選択肢を1つずつ判断する形式でも解けます。
- 年度や分野を選んで、続けて解けます。
登録しなくても、すぐ解き始められます。