2026年 国家一般職 問題16
行政法行政行為の基礎
【No. 16】行政行為の附款に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
附款は、行政行為の効果を制限したり、特別の義務を課したりするために、行政行為の本体に付け加えられる定めです。付けられるのは、法律が認めている場合か、行政行為に裁量がある場合で、法律の目的の範囲内に限られます。附款も裁量の行使なので、平等原則・比例原則にも従います。
附款の種類は、本体の効力との結び付き方で区別します。
条件:効力の発生・消滅を、発生が不確実な事実にかからせる(停止条件・解除条件)
期限:効力の発生・消滅を、発生が確実な事実にかからせる(確定期限・不確定期限)
負担:本体に付け加えて、相手方に特別の義務を命じる。本体の効力とは結び付かない
ア.誤答
職員の身分を保障し、自己の職務に専念させることが地方公務員法の趣旨であるから、職員の期限付任用を必要とする特段の事由があるとしても、同法にそれを認める明文がない限り、行政行為の附款として職員の任用に期限を付すことが許容されるものではないとするのが判例である。
要点特段の事由があれば、明文がなくても職員の期限付任用は許される。
妥当でない。判例は、地方公務員法に期限付任用を認める明文がなくても、期限付任用を必要とする特段の事由があり、かつ、それが同法の趣旨に反しない場合には、期限付任用も許されるとしました(最判昭38.4.2)。
判例は、任用を無期限とする法の建前は、職員の身分を保障して安心して職務に専念させるためのものだと見ました。その趣旨を損なわない期限付任用まで禁じる理由はないので、明文がなくても許されるとしています。
【最判昭38.4.2 判決理由】
しかし、右法の建前は、職員の身分を保障し、職員をして安んじて自己の職務に専念させる趣旨に出たものであるから、職員の期限付任用も、それを必要とする特段の事由が存し、且つ、それが右の趣旨に反しない場合においては、特に法律にこれを認める旨の明文がなくても、許されるものと解するのが相当である。
イ.正答
負担とは、一般に、法令により課される義務以外に作為又は不作為の義務を付加する附款のことをいい、負担の履行は、本体たる行政行為の効力発生の条件ではないことから、負担に対し違反があっても当該行政行為の効力が当然に失われるわけではないと一般に解されている。
要点負担に違反しても、本体の行政行為の効力は当然には失われない。
妥当である。負担の定義と、負担に違反しても本体の行政行為の効力が当然には失われないことは、記述のとおりです。
条件は本体の効力そのものを左右しますが、負担は、本体とは別に義務を命じるだけで、本体の効力とは結び付いていません。負担の不履行は、義務の履行を強制したり、本体を撤回したりする理由にはなっても、それだけで本体の効力を失わせはしません。
ウ.正答
附款は行政庁の裁量権行使の一環であり、本体たる行政行為の根拠法規の目的に反したり、平等原則、比例原則に違反したりする附款は許されないと一般に解されている。
要点附款は、根拠法規の目的や平等原則・比例原則に反してはならない。
妥当である。附款は行政庁の裁量の行使なので、本体の行政行為の根拠法規の目的に反する附款や、平等原則・比例原則に反する附款は許されません。
裁量は、法律がその目的のために行政庁に与えた判断の幅です。目的の外で使ったり、同じ立場の人を不平等に扱ったり、目的に必要な程度を超えて重い義務を課したりすれば、裁量の限界を超えます。
エ.誤答
附款も行政行為の一部であり、取消訴訟の排他的管轄が及ぶことから、その附款がなければ本体たる行政行為がなされなかったことが明らかである場合においても、まずは附款だけの取消訴訟を提起しなければならないと一般に解されている。
要点本体と不可分の附款は、附款だけの取消しを求めることができない。
妥当でない。附款が本体と切り離せるときは、附款だけの取消訴訟を起こせます。しかし、その附款がなければ本体の行政行為がされなかったことが明らかな場合は、附款は本体と不可分なので、附款だけの取消しは求められず、行政行為全体の取消しを求めることになります。
不可分の附款だけを取り消すと、行政庁が附款なしにはしなかった行政行為が残ってしまい、裁判所が行政庁に代わって新しい行政行為を作るのと同じになるからです。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和8年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.16
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
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