2025年 国家総合職 問題5
憲法内閣の組織と権能
【No. 5】内閣に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜オ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
ア.正答
内閣総理大臣は国務大臣を任命する。国務大臣は文民でなければならず、また、その過半数は国会議員から選ばれなければならない。
要点総理大臣が国務大臣を任命し、国務大臣は文民で、過半数は国会議員から選ぶ。
妥当である。内閣総理大臣は国務大臣を任命し、その過半数は国会議員の中から選ばれなければなりません(憲法68条1項)。また、国務大臣は文民でなければなりません(66条2項)。
過半数を国会議員とするのは、内閣が国会の信任の上に成り立つ議院内閣制の仕組みだからです。文民の要件は、軍が政治を左右することを防ぐためのものです。
【日本国憲法 第66条第2項】
内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
【日本国憲法 第68条第1項】
第六十八条 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
イ.正答
憲法第73条は、内閣の職務として、外交関係を処理することや条約を締結することを定めているところ、全権委任状及び大使・公使の信任状の認証は、天皇の国事行為である。
要点外交関係の処理と条約の締結は内閣の職務で、信任状の認証は国事行為である。
妥当である。外交関係の処理と条約の締結は内閣の職務で(憲法73条2号・3号)、全権委任状と大使・公使の信任状の認証は天皇の国事行為です(7条5号)。
外交の中身を決めるのは内閣で、天皇は内閣の助言と承認によって、内閣が作成した文書が真正であることを公に証明するだけです(認証:ある行為や文書が正当な手続でされたことを公に証明すること)。
【日本国憲法 第7条】
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
(略)
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
(略)
【日本国憲法 第73条】
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
(略)
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
(略)
ウ.誤答
法律には、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とするが、政令については、それぞれの事務を所掌する主任の国務大臣の署名があれば足りる。
要点法律と政令には、全て主任の国務大臣が署名し、総理大臣が連署する。
妥当でない。憲法74条は、法律だけでなく政令にも、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを求めています。政令は主任の国務大臣の署名で足りるとする部分が誤りです。
署名は、その法律・政令を執行する責任がどの大臣にあるかを明らかにするもので、連署は、内閣の首長として総理大臣も責任を負うことを示すものです。
【日本国憲法 第74条】
第七十四条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
エ.誤答
憲法第7条は、天皇の国事行為として、内閣の助言と承認により衆議院を解散することを定めている。また、内閣は、衆議院で内閣不信任決議案が可決され、又は内閣信任決議案が否決された後、10日以内に衆議院が解散されない場合は総辞職しなければならないが、内閣総理大臣が一時的に病気になった場合にも、内閣は総辞職しなければならない。
要点総理大臣が一時的に病気になっても、臨時代理が置かれ、総辞職は要しない。
妥当でない。内閣が総辞職しなければならないのは、内閣総理大臣が欠けたときなどです(憲法70条)。一時的な病気のような「事故のあるとき」は、あらかじめ指定された国務大臣が臨時に総理大臣の職務を行います(内閣法9条)。前半の、衆議院の解散と、不信任決議の後の総辞職についての記述はそのとおりです。
「欠けた」とは、死亡や辞職などで地位を失うことです。一時的に職務を行えないだけなら、総理大臣の地位はそのままなので、内閣の基盤も失われていないからです。
【日本国憲法 第70条】
第七十条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
【内閣法 第9条】
第九条 内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。
オ.誤答
国務大臣は、その在任中、内閣の同意がなければ訴追されない。ただし、これにより、訴追の権利は害されない。
要点国務大臣は、在任中、総理大臣の同意がなければ訴追されない。
妥当でない。国務大臣の訴追に同意するのは、内閣総理大臣です(憲法75条)。「内閣の同意」とする部分が誤りです。ただし書の内容はそのとおりです。
検察が国務大臣を訴追して内閣の職務が妨げられることを防ぐため、内閣の首長である総理大臣の判断に委ねたものです。
【日本国憲法 第75条】
第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.5
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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