2025年 国家総合職 問題4
憲法議院の活動と権能
【No. 4】議院の権能に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
1.誤答
議院の内部組織に関する自律権として、憲法は役員選任権を規定しているが、議長以外の役員についてその範囲は明らかではないところ、国会法は、議長、副議長及び常任委員長のみを役員とすると規定している。
要点国会法の定める役員は、議長、副議長、仮議長、常任委員長、事務総長である。
妥当でない。国会法16条は、各議院の役員を、議長、副議長、仮議長、常任委員長、事務総長と定めています。議長、副議長及び常任委員長のみとする部分が誤りです。
憲法58条1項は「議長その他の役員」を各議院が選ぶとするだけで範囲を定めていないので、その範囲は国会法で具体化されています。
【日本国憲法 第58条第1項】
第五十八条 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
【国会法 第16条】
第十六条 各議院の役員は、左の通りとする。
一 議長
二 副議長
三 仮議長
四 常任委員長
五 事務総長
2.誤答
各議院は、その議員の資格に関する争訟を裁判することができるが、当該裁判において資格を有しないとされた議員は、さらに、資格回復のための司法上の救済を通常裁判所に求めることができる。
要点資格争訟の裁判で資格がないとされた議員は、裁判所に救済を求められない。
妥当でない。議院が行う資格争訟の裁判(憲法55条)の結論について、通説では、通常裁判所に救済を求めることはできないと解されています。
議員の資格の判断は、議院の自律権(他の国家機関の干渉を受けずに、内部の事項を自ら決める権能)に属するものとして、憲法が裁判所ではなく議院自身に委ねたからです。議席を失わせるには出席議員の3分の2以上の多数を要するとして、議院内の手続で慎重さを確保しています。
【日本国憲法 第55条】
第五十五条 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
3.誤答
各議院が定める議院規則と国会法との優劣については、明治憲法が議院規則の形式的効力は憲法及び法律に劣るものであることを明記していたが、日本国憲法においても同様の規定が置かれている。
要点日本国憲法には、議院規則と法律の優劣を定めた規定はない。
妥当でない。日本国憲法には、議院規則と国会法などの法律との優劣を定めた規定は置かれていません。明治憲法では、議院規則は「此ノ憲法及議院法ニ掲クルモノノ外」に定めるものとされていました。
日本国憲法58条2項は、会議その他の手続と内部の規律を各議院が自ら定めることを認めているだけなので、規則と法律が食い違うときの優劣は、解釈に委ねられています(法律が優位するとする説と、議院の自律を重んじて規則が優位するとする説があります)。
【日本国憲法 第58条第2項】
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
4.正答
各議院は、院内の秩序を乱した議員を懲罰することができ、懲罰の種類には、公開議場における戒告、公開議場における陳謝、一定期間の登院停止及び除名があるが、除名は、議員の身分を剥奪するものであることから、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
要点懲罰には戒告・陳謝・登院停止・除名があり、除名には3分の2以上の議決を要する。
妥当である。懲罰の種類は、公開議場における戒告、公開議場における陳謝、一定期間の登院停止、除名です(国会法122条)。除名には、出席議員の3分の2以上の多数による議決が必要です(憲法58条2項)。
除名は、選挙で選ばれた議員の身分を奪う最も重い懲罰なので、多数派が少数派を排除する手段に使われないよう、特別多数を求めています。
【日本国憲法 第58条第2項】
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
【国会法 第122条】
第百二十二条 懲罰は、左の通りとする。
一 公開議場における戒告
二 公開議場における陳謝
三 一定期間の登院停止
四 除名
5.誤答
各議院が権能として有している国政調査権は、憲法第41条において国会が国の唯一の立法機関であると規定されていることに基づき、憲法の他の条項によって各議院に与えられた諸権能とは異なる独立の権能であると一般に解されている。
要点国政調査権は、議院の権能を実効的に行使するための補助的な権能と解されている。
妥当でない。国政調査権(憲法62条)は、通説では、立法など議院に与えられた権能を実効的に行使するための補助的な権能と解されています。憲法41条の「国権の最高機関」を根拠に、他の権能から独立した権能とみる考え方(独立権能説)は、一般的な理解ではありません。
補助的権能と解すると、調査は議院の権能に関係する範囲に限られ、裁判中の事件の判断の当否を調べるなど司法権の独立を害する調査は許されないことになります。
【日本国憲法 第41条】
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
【日本国憲法 第62条】
第六十二条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.4
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 振り仮名を除いています。
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