2025年 国家総合職 問題26
民法債権譲渡・債権の消滅
【No. 26】Aは、Bに、80万円の借入金債務αとその利息12万円の債務α₁、60万円の借入金債務βとその利息9万円の債務β₁を負っている。弁済の充当の順序について合意がない場合に、AがBに50万円を支払うとき、充当の方法として最も妥当なのはどれか。なお、α及びα₁の弁済期が先に到来し、支払の時点では、β及びβ₁の弁済期も既に到来していた。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
弁済の充当は、次の順で考えます。
まず、元本のほか利息・費用も払うべき場合は、費用→利息→元本の順に充当しなければなりません(民法489条1項)。この順序は、当事者の合意がない限り、弁済をする者の指定でも変えられません。元本を先に消すと、その後に生じる利息が減り、利息を後回しにされた債権者に不利になるからです。
次に、同じ種類(利息どうし、元本どうしなど)の中で全部を消せないときは、指定による充当(弁済をする者、次に受領する者が指定)、指定がなければ法定充当(弁済期にあるもの→債務者に利益の多いもの→弁済期が先のもの→額に応じて按分)によります(489条2項・488条)。
【民法 第488条第1項・第4項】
(同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当)
第四百八十八条 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき(次条第一項に規定する場合を除く。)は、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。
4 弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも第一項又は第二項の規定による指定をしないときは、次の各号の定めるところに従い、その弁済を充当する。
一 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは、弁済期にあるものに先に充当する。
二 全ての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。
三 債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。
四 前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は、各債務の額に応じて充当する。
【民法 第489条】
(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)
第四百八十九条 債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合(債務者が数個の債務を負担する場合にあっては、同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担するときに限る。)において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。
2 前条の規定は、前項の場合において、費用、利息又は元本のいずれかの全てを消滅させるのに足りない給付をしたときについて準用する。
1.誤答
Aが、支払の時に、αに充当するよう指定したときは、全てαに充当される。
要点元本の指定があっても、先に利息α₁・β₁に充当され、残りが指定のαに充当される。
妥当でない。元本のほかに利息を払うべき場合は、利息に先に充当しなければならないので、Aが元本αを指定しても、まず利息α₁(12万円)とβ₁(9万円)に充当されます。全てαに充当されるわけではありません。残りの29万円が、Aの指定に従ってαに充当されます。
2.正答
Aが、支払の時に、αに充当するよう指定していたとしても、α₁及びβ₁に充当された後、残りはαに充当される。
要点利息α₁・β₁に充当された後、残りは指定に従いαに充当される。
妥当である。まず利息α₁(12万円)とβ₁(9万円)の合計21万円に充当され、残りの29万円は、元本どうしの中では弁済をする者の指定に従ってαに充当されます(民法489条2項、488条1項)。
3.誤答
A及びBが、充当すべき債務を指定しないときは、まずα₁に充当され、残りはαに充当される。
要点指定がなければ、利息α₁・β₁に充当した後、残りを法定充当で元本に充てる。
妥当でない。指定がない場合でも、まず利息に充当されます。利息α₁とβ₁は合計21万円で、50万円で全部消せるので、β₁にも充当されます。「まずα₁に充当され、残りはαに」とする部分が誤りです。残りの29万円は、元本α・βの法定充当によります(どちらも弁済期にあり、債務者の利益が同じなら、弁済期が先のαに充当されます)。
4.誤答
A及びBが、充当すべき債務を指定しないときは、債務の額に応じて、α及びβに按分して充当される。
要点指定がなくても、按分する前に、まず利息α₁・β₁に充当される。
妥当でない。指定がない場合でも、まず利息α₁・β₁に充当されます。元本α・βの間でも、額に応じて按分するのは、弁済期、債務者の利益、弁済期の先後がいずれも等しいときに限られます(民法488条4項4号)。αの弁済期が先なので、αに先に充当されます。
5.誤答
A及びBが、充当すべき債務を指定しないときは、債務の額に応じて、α・α₁・β・β₁に按分して充当される。
要点利息と元本を全部まとめて額に応じて按分することはない。
妥当でない。元本と利息を払うべき場合は、利息に先に充当されるので、元本α・βと利息α₁・β₁を区別せずに額に応じて按分することはありません(民法489条1項)。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.26
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 振り仮名を除いています。
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