2025年 国家総合職 問題20
民法無効・取消し・条件・期限
【No. 20】民法上の条件と期限に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
1.誤答
停止条件付法律行為は、停止条件が成就しない間はその効力を生じないため、停止条件が成就しない間における条件付き権利は、処分することができず、また、相続の対象とならない。
要点条件の成否未定の間の権利も、処分・相続・保存し、担保を供することができる。
妥当でない。条件の成否が未定である間の当事者の権利義務も、一般の規定に従い、処分し、相続し、保存し、担保を供することができます(民法129条)。処分できず、相続の対象にもならないとする部分が誤りです。
停止条件付きの権利は、効力はまだ生じていなくても、条件が成就すれば利益を受けられるという期待そのものに財産的な価値があるからです。民法は、この期待を一種の権利として保護しています(128条も、条件付き権利の侵害を禁じています)。
【民法 第128条】
(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)
第百二十八条 条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。
【民法 第129条】
(条件の成否未定の間における権利の処分等)
第百二十九条 条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。
2.誤答
停止条件の成否が債権者又は債務者の意思のみに係る法律行為は、無効なものとして扱われる。
要点停止条件が債務者の意思のみに係る法律行為は無効だが、債権者の意思なら有効。
妥当でない。停止条件付法律行為が無効となるのは、その条件が単に債務者の意思のみに係るときです(民法134条)。債権者の意思のみに係る場合は無効となりません。
「気が向いたら払う」というように、債務者が自分の意思だけで義務を負うかどうかを決められるのでは、法的に拘束される意思がないのと同じだからです。債権者の意思で決まる場合は、債務者は拘束されているので、このような問題は生じません。
【民法 第134条】
(随意条件)
第百三十四条 停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。
3.誤答
期限の定めのない債権は、債務者が債権者から履行の請求を受けた時から遅滞に陥り、かつ、消滅時効が進行する。
要点期限の定めのない債権は、請求時から遅滞となるが、時効は成立時から進む。
妥当でない。期限の定めのない債務は、履行の請求を受けた時から遅滞に陥ります(民法412条3項)。しかし、消滅時効は「権利を行使することができる時」から進行するので(166条1項2号)、期限の定めのない債権の時効は、債権が成立した時から進行します。
期限の定めがなければ、債権者はいつでも請求できるので、債権の成立時から権利を行使できる状態にあるからです。遅滞は債務者が履行を求められたことを前提にする責任なので、起算点が別になります。
【民法 第166条第1項】
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
【民法 第412条第3項】
(履行期と履行遅滞)
3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
4.誤答
債務者の財産が差し押さえられた場合に債務者は期限の利益を喪失するという民法上の規定は存在しないため、そのような場合に期限の利益が喪失するという特約を債権者と債務者との間で設けたとしても、その特約は無効である。
要点差押えを期限の利益の喪失事由とする特約は、有効である。
妥当でない。前半のとおり、民法137条は差押えを期限の利益の喪失事由に挙げていません。しかし、当事者が差押えなどを期限の利益の喪失事由とする特約(期限の利益喪失約款)を結ぶことは、契約の内容を自由に決められる範囲内のこととして有効です(521条2項)。
137条は、債務者の信用が失われる典型的な場合に、特約がなくても期限の利益を失わせる最低限の定めです。それ以外の事由を当事者が合意で加えることを禁じる趣旨ではありません。
【民法 第137条】
(期限の利益の喪失)
第百三十七条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
【民法 第521条第2項】
(契約の締結及び内容の自由)
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
5.正答
不能な解除条件を付した法律行為は無条件である。また、法律行為の時に条件が既に成就していた場合において、その条件が解除条件であるときは、その法律行為は無効である。
要点不能の解除条件は無条件、既に成就していた解除条件は無効となる。
妥当である。不能の解除条件を付した法律行為は無条件となり(民法133条2項)、法律行為の時に条件が既に成就していた場合に、その条件が解除条件であるときは、その法律行為は無効となります(131条1項)。
解除条件は、成就すると効力が消える条件です。成就が不能なら効力が消えることはないので無条件と同じで、すでに成就していれば、初めから効力を持たせる意味がないので無効とされています。
【民法 第131条第1項】
(既成条件)
第百三十一条 条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。
【民法 第133条第2項】
(不能条件)
2 不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.20
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
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