2025年 国家総合職 問題19
行政法国の行政組織・公務員
【No. 19】国家公務員法に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
ア.誤答
国家公務員法は、一般職の職員に対し、本人の意向に反して降任、免職がされることはないという身分保障を与えている。そのため、公務の能率性を確保するなどの観点から、分限処分として降任又は免職がされるときは、職務上の義務違反や非行などを理由とする制裁ではないため、同法は、原則として本人の同意を得ることとしている。
要点分限の降任・免職は、法定の事由があれば本人の意に反してもできる。
妥当でない。職員は、法律または人事院規則で定める事由による場合でなければ、その意に反して降任・休職・免職されることはありません(国家公務員法75条1項)。裏返すと、勤務実績がよくない場合など法定の事由があれば、本人の同意がなくても分限処分として降任・免職ができます(78条)。本人の同意を得ることとしているとする部分が誤りです。
分限処分は、公務の能率を保つための処分なので、その要件を法律で限定して身分を保障しつつ、要件があれば本人の意思にかかわらず行えるようにしているのです。
【国家公務員法 第75条第1項】
(身分保障)
第七十五条 職員は、法律又は人事院規則で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。
【国家公務員法 第78条】
(本人の意に反する降任及び免職の場合)
第七十八条 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三 その他その官職に必要な適格性を欠く場合
四 官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
イ.正答
人事院は、国家公務員法の定めるところにより、一般職の職員から俸給、給料その他あらゆる勤務条件に関する適当な行政上の措置を行うよう求められ、事案を判定した結果、一定の措置が必要であると認めたときは、自らの権限に属する事項については、自らこれを行い、その他の事項については、当該事項につき権限を有する機関に対して必要な勧告をしなければならない。
要点勤務条件の行政措置の要求を判定し、人事院は自ら実行するか勧告する。
妥当である。職員は、勤務条件に関し、人事院に適当な行政上の措置を要求でき(国家公務員法86条)、人事院は判定に基づき、その権限に属する事項は自ら実行し、その他の事項は内閣総理大臣や所轄庁の長に実行を勧告しなければなりません(88条)。
労働基本権が制約されている職員のために、勤務条件について第三者機関である人事院を通じて改善を求める道を設けたものです。
【国家公務員法 第86条】
(勤務条件に関する行政措置の要求)
第八十六条 職員は、俸給、給料その他あらゆる勤務条件に関し、人事院に対して、人事院若しくは内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長により、適当な行政上の措置が行われることを要求することができる。
【国家公務員法 第88条】
(判定の結果採るべき措置)
第八十八条 人事院は、前条に規定する判定に基き、勤務条件に関し一定の措置を必要と認めるときは、その権限に属する事項については、自らこれを実行し、その他の事項については、内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長に対し、その実行を勧告しなければならない。
ウ.誤答
国家公務員法上、一般職の職員は、その意に反する不利益な処分について、人事院に対してのみ審査請求をすることができるが、当該審査請求に対する人事院の裁決を経た後でなくても、当該処分の取消しの訴えを裁判所に提起することができるのが原則である。
要点人事院に審査請求できる処分の取消訴訟は、人事院の裁決を経た後でなければできない。
妥当でない。意に反する不利益な処分について職員が審査請求できるのは人事院に対してのみですが(国家公務員法90条1項)、その処分の取消しの訴えは、人事院の裁決を経た後でなければ提起できません(92条の2。審査請求前置)。裁決を経なくても提起できるのが原則とする部分が誤りです。
公務員の人事には専門的な判断が要り、処分も大量にされるので、まず中立の専門機関である人事院に判断させ、裁判所の負担を減らすとともに、紛争を早く解決するためです。
【国家公務員法 第90条第1項】
(審査請求)
第九十条 前条第一項に規定する処分を受けた職員は、人事院に対してのみ審査請求をすることができる。
【国家公務員法 第92条の2】
(審査請求と訴訟との関係)
第九十二条の二 第八十九条第一項に規定する処分であつて人事院に対して審査請求をすることができるものの取消しの訴えは、審査請求に対する人事院の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
エ.正答
一般職の職員も、一人の国民として、政治活動の自由を憲法上保障されているが、行政の中立的運営を確保し、国民の信頼を維持するため、国家公務員法により、一定の政治的行為が禁止されており、これに違反した者は、同法に基づき、懲戒処分を受ける可能性があるほか、一定の刑罰を科され得る。
要点政治的行為の制限に違反すると、懲戒処分のほか刑罰を科され得る。
妥当である。職員は、人事院規則で定める政治的行為をしてはならず(国家公務員法102条1項)、違反した者は、懲戒処分の対象となるほか(82条1項1号)、刑罰を科され得ます(110条1項18号)。
行政の中立的運営と、それに対する国民の信頼を確保するためです。判例も、この目的のため、公務員の政治的中立性を損なうおそれのある行為を禁止することは許されるとしています。
【国家公務員法 第102条第1項】
(政治的行為の制限)
第百二条 職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
【国家公務員法 第82条第1項】
(懲戒の場合)
第八十二条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
(略)
【国家公務員法 第110条第1項】
第百十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
(略)
十八 第百二条第一項に規定する政治的行為の制限に違反した者
(略)
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.19
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
- 人事院など試験の実施機関とは関係のない、非公式の問題集です。解説は当サイトが作成しています。出典と著作権について:利用規約 第6条
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