2025年 国家総合職 問題11
行政法情報公開・個人情報
【No. 11】個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
ア.誤答
個人情報保護法は、デジタル社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人が自己に関する情報をコントロールする権利を保護することが目的であると明文で規定した上で、国の行政機関、地方公共団体の機関、独立行政法人等、地方独立行政法人及び個人情報取扱事業者による個人情報の取扱いを具体的に規律している。
要点個人情報保護法の目的規定は、個人の「権利利益」の保護を掲げている。
妥当でない。個人情報保護法1条は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としており、自己に関する情報をコントロールする権利の保護を目的として明文で定めてはいません。後半の、行政機関や事業者などの取扱いを規律している点は、そのとおりです。
「自己情報コントロール権」は学説で主張される考え方で、その内容や範囲には争いがあります。法律は、守る対象を具体的な権利に限らない「権利利益」と書いて、幅をもたせています。
【個人情報の保護に関する法律 第1条】
(目的)
第一条 この法律は、デジタル社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、個人情報を取り扱う事業者及び行政機関等についてこれらの特性に応じて遵守すべき義務等を定めるとともに、個人情報保護委員会を設置することにより、行政機関等の事務及び事業の適正かつ円滑な運営を図り、並びに個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。
イ.誤答
個人情報保護法において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述により特定の個人を識別することができるもの、又はその情報単体から特定の個人を識別することができる文字、番号、記号その他の符号が含まれるもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるものをいう。
要点個人情報は、特定の個人を識別できる生存者の情報で、秘匿性は要件でない。
妥当でない。個人情報保護法の「個人情報」は、生存する個人に関する情報で、氏名などにより特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号を含むものをいいます(2条1項)。一般に他人に知られたくないと望むことが正当と認められるもの、という限定はありません。
法律は、情報の中身が秘密かどうかではなく、特定の個人と結びつくかどうかで対象を決めています。ありふれた情報でも、個人と結びついて集められ、利用されると、その人の権利利益を害するおそれがあるからです。
【個人情報の保護に関する法律 第2条第1項】
(定義)
第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの
ウ.正答
個人情報保護法に基づき、行政機関の長等に対し、自己を本人とする個人が開示請求をすることができる個人情報とは、行政機関等の職員が職務上作成し、又は取得した個人情報であって、当該行政機関等の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関等が保有しているもののうち、行政文書に記録されているものをいう。
要点開示請求の対象の保有個人情報は、行政文書等に記録されたものに限られる。
妥当である。開示請求の対象となる「保有個人情報」は、行政機関等の職員が職務上作成・取得し、組織的に利用するものとして行政機関等が保有している個人情報で、行政文書等に記録されているものに限られます(60条1項・76条1項)。
行政機関の保有する情報の公開の仕組み(情報公開法)と同じく、対象を組織として管理している文書に記録されたものにそろえることで、職員の個人的なメモなどを除き、対象の範囲をはっきりさせているからです。
【個人情報の保護に関する法律 第60条第1項】
(定義)
第六十条 この章及び第八章において「保有個人情報」とは、行政機関等の職員(独立行政法人等及び地方独立行政法人にあっては、その役員を含む。以下この章及び第八章において同じ。)が職務上作成し、又は取得した個人情報であって、当該行政機関等の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関等が保有しているものをいう。ただし、行政文書(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下この章において「行政機関情報公開法」という。)第二条第二項に規定する行政文書をいう。)、法人文書(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号。以下この章において「独立行政法人等情報公開法」という。)第二条第二項に規定する法人文書(同項第四号に掲げるものを含む。)をいう。)又は地方公共団体等行政文書(地方公共団体の機関又は地方独立行政法人の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該地方公共団体の機関又は地方独立行政法人の職員が組織的に用いるものとして、当該地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が保有しているもの(行政機関情報公開法第二条第二項各号に掲げるものに相当するものとして政令で定めるものを除く。)をいう。)(以下この章において「行政文書等」という。)に記録されているものに限る。
【個人情報の保護に関する法律 第76条第1項】
(開示請求権)
第七十六条 何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長等に対し、当該行政機関の長等の属する行政機関等の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる。
エ.誤答
個人情報保護法に基づき、行政機関等が保有する自己を本人とする個人情報について、その内容が事実でないと思料する者は、当該行政機関の長等に対し、まずは当該保有個人情報の開示を請求し、開示を受けた後で、当該保有個人情報の利用の停止若しくは消去又は第三者への提供の停止を請求することができる。
要点内容が事実でないと思料するときは、開示を受けた後に訂正を請求できる。
妥当でない。保有個人情報の内容が事実でないと思うときに請求できるのは、訂正(追加・削除を含む)です(90条1項)。利用の停止・消去や提供の停止を請求できるのは、違法に取得・利用・提供されているなどと思うときです(98条1項)。どちらも、開示を受けたことが前提です。
訂正は情報の「中身の誤り」を正す手段、利用停止は「取扱いの違法」をやめさせる手段で、求める理由と効果が対応しているからです。
【個人情報の保護に関する法律 第90条第1項】
(訂正請求権)
第九十条 何人も、自己を本人とする保有個人情報(次に掲げるものに限る。第九十八条第一項において同じ。)の内容が事実でないと思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長等に対し、当該保有個人情報の訂正(追加又は削除を含む。以下この節において同じ。)を請求することができる。ただし、当該保有個人情報の訂正に関して他の法令の規定により特別の手続が定められているときは、この限りでない。
一 開示決定に基づき開示を受けた保有個人情報
二 開示決定に係る保有個人情報であって、第八十八条第一項の他の法令の規定により開示を受けたもの
【個人情報の保護に関する法律 第98条第1項】
(利用停止請求権)
第九十八条 何人も、自己を本人とする保有個人情報が次の各号のいずれかに該当すると思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長等に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。ただし、当該保有個人情報の利用の停止、消去又は提供の停止(以下この節において「利用停止」という。)に関して他の法令の規定により特別の手続が定められているときは、この限りでない。
一 第六十一条第二項の規定に違反して保有されているとき、第六十三条の規定に違反して取り扱われているとき、第六十四条の規定に違反して取得されたものであるとき、又は第六十九条第一項及び第二項の規定に違反して利用されているとき 当該保有個人情報の利用の停止又は消去
二 第六十九条第一項及び第二項又は第七十一条第一項の規定に違反して提供されているとき 当該保有個人情報の提供の停止
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.11
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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