2025年 国家一般職 問題28
民法賃貸借
【No. 28】使用貸借に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
使用貸借は、物を無償で(ただで)貸す契約です。無償の貸し借りでも取引の一環として行われることが多いので、合意だけで成立する契約とされています。一方、貸主は対価を得ないので、契約に縛られる程度を軽くしています(書面にすれば、拘束は強まります)。
借主は、他人の物を無償で自分のために使う立場なので、その物の扱いには十分な注意を求められます。
ア.正答
使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる諾成契約である。
要点使用貸借は、物の引渡しがなくても合意で成立する諾成契約である。
妥当である。使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方が受け取った物を無償で使用・収益して契約終了時に返還することを約することによって効力を生じます(民法593条)。物の引渡しを要しない諾成契約(合意だけで成立する契約)です。
無償の貸し借りでも取引の一環として行われることが多く、物を渡すまで何の義務も生じないとすると、取引の安定を害するおそれがあるためです。
【民法 第593条】
(使用貸借)
第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
イ.誤答
書面による使用貸借の貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。
要点書面による使用貸借の貸主は、借用物の受取り前でも解除できない。
妥当でない。貸主は、借主が借用物を受け取るまで契約を解除できますが、書面による使用貸借については、この限りでありません(民法593条の2)。
無償で貸す約束なので、物を渡す前なら貸主が考え直せるようにしていますが、書面にしたときは貸主の意思がはっきりしているので、解除を認めません。書面によらない贈与の解除(550条)と同じ考え方です。
【民法 第593条の2】
(借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除)
第五百九十三条の二 貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。
【民法 第550条】
(書面によらない贈与の解除)
第五百五十条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
ウ.正答
使用貸借の借主は、借用物の返還をするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
要点使用貸借の借主は、善良な管理者の注意をもって借用物を保存する。
妥当である。特定物の引渡しの債務者は、引渡しまで善良な管理者の注意(その立場の人に通常求められる注意)をもってその物を保存しなければならず(民法400条)、借りた物を返す債務を負う使用貸借の借主も、この義務を負います。
通説では、使用貸借の借主は、無償でも自分の利益のために他人の物を使う立場なので、注意を軽くする理由がないと解されています。これに対し、無報酬の受寄者は、相手のために預かるので、自己の財産に対するのと同一の注意で足ります(659条)。
【民法 第400条】
(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第四百条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
【民法 第659条】
(無報酬の受寄者の注意義務)
第六百五十九条 無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
エ.誤答
使用貸借契約において、使用貸借の期間及び使用収益の目的が定められていない場合は、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をしなければ、契約の解除をすることができない。
要点期間も目的も定めない使用貸借は、貸主がいつでも解除できる。
妥当でない。当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約を解除できます(民法598条2項)。相当の期間を定めた返還の催告は要りません。
通説では、無償で貸している貸主を、期間も目的も決めていない契約に縛り続ける理由はないと解されています。
【民法 第598条第2項】
(使用貸借の解除)
2 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.28
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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