2025年 国家一般職 問題27
民法契約総論・売買・贈与
【No. 27】契約の解除に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜オ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
契約の解除は、相手方が債務を履行しないときなどに、契約の拘束から解放されるための制度です。
催告による解除で催告を求めるのは、債務者に履行の機会を与えるためです。そのため、催告をしても意味がない場合(債務者が履行をはっきり拒んでいる場合など)は、催告なしで解除できます。反対に、催告期間が過ぎた時の不履行が軽微で契約の目的に影響しない場合は、解除まではできません。
解除によって契約関係は大きく変わるので、相手方や当事者が複数の場合の扱いに決まりがあり、解除の後は、受け取った物を返して契約がなかった状態に戻します。
ア.誤答
契約の当事者の一方が解除権を有する場合、その解除は、相手方に対する意思表示によってするが、この解除の意思表示は、撤回することができる。
要点解除の意思表示は、撤回することができない。
妥当でない。解除は相手方に対する意思表示によってしますが(民法540条1項)、その意思表示は撤回することができません(同条2項)。
通説では、解除の意思表示を受けた相手方は、契約が終わったものとして行動を始めるので、解除した側が自由に撤回できるとすると、相手方の立場が不安定になるためと解されています。
【民法 第540条】
(解除権の行使)
第五百四十条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
2 前項の意思表示は、撤回することができない。
イ.誤答
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときであっても、相手方は、契約の解除をすることができる。
要点催告期間を経過した時の不履行が軽微なら、催告による解除はできない。
妥当でない。催告をして相当の期間内に履行がなくても、その期間を経過した時の不履行が、その契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、契約の解除はできません(民法541条ただし書)。
付随的な義務の違反や、ごく一部の不足のように、契約の目的の達成を妨げない不履行では、契約全体を解消させるほどの理由がないからです。
【民法 第541条】
(催告による解除)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
ウ.誤答
債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができるが、債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、催告をしなければ、契約の一部を解除することはできない。
要点一部の履行拒絶を明確に表示したときは、催告なく契約の一部を解除できる。
妥当でない。債務者が債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、催告なしで契約の解除ができ(民法542条1項2号)、債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときも、催告なしで契約の一部の解除ができます(同条2項2号)。一部の解除に催告が必要とする部分が誤りです。
催告は債務者に履行の機会を与えるためのものなので、債務者がはっきり履行を拒んでいる部分については、催告をしても意味がありません。
【民法 第542条第1項】
(催告によらない解除)
第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
(略)
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
(略)
【民法 第542条第2項】
(催告によらない解除)
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
(略)
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
エ.正答
当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみすることができる。
要点当事者の一方が数人あるときは、解除はその全員から又は全員に対してする。
妥当である。当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみすることができます(民法544条1項)。
通説では、一部の者との間だけで解除の効果が生じると、契約が残る者と解消される者が混じって法律関係が複雑になるので、全員について一体として扱うと解されています。
【民法 第544条第1項】
(解除権の不可分性)
第五百四十四条 当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。
オ.正答
当事者の一方が解除権を行使した場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
要点解除により金銭を返還するときは、受領の時から利息を付す。
妥当である。解除権が行使されると、各当事者は相手方を原状に復させる義務を負い(民法545条1項本文)、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付けなければなりません(同条2項)。
原状回復は、契約がなかった状態に戻すことです。受け取った金銭はその間使うことができたので、利息を付けて返させ、物を返すときに受領後の果実も返させる(同条3項)のと釣り合いをとっています。
【民法 第545条第1項・第2項・第3項】
(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.27
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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