2025年 国家一般職 問題24
民法用益物権
【No. 24】用益物権に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜オ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
地上権や永小作権などの用益物権は、他人の土地を使う権利を、土地を直接支配する物権として認めたものです。通説では、同じく他人の土地を使う土地の賃借権(賃貸人に「使わせてほしい」と求める債権)と比べて、次の違いがあると解されています。
妨害への対応:権利が妨げられれば、相手が誰でも、自分の名で妨害の排除などを求められる
譲渡:原則として、土地の所有者の承諾なしに譲渡できる
所有者の義務:土地の所有者は、使用を妨げない義務を負うだけで、賃貸人のように使える状態にする義務は負わない
ア.正答
地上権者は、土地の賃借人と異なり、土地所有者に対して、その土地を地上権設定の目的に従った使用に適した状態に置くことを求める権利を有しない。
要点土地所有者は、地上権者に土地を使える状態にする積極的な義務を負わない。
妥当である。賃貸人は、賃借人に物を使わせる義務を負い(民法601条)、使うのに必要な修繕もしなければなりません(606条1項)。これに対し、通説では、土地の所有者は、地上権者に対し、使用を妨げない義務を負うだけで、使える状態にする積極的な義務は負わないと解されています。
地上権者は、土地を直接支配して自分で使う権利を持つので、所有者の行為がなくても土地を使えます。賃借権は、賃貸人に使わせるよう求める権利なので、賃貸人が使える状態を整える義務を負います。
【民法 第601条】
(賃貸借)
第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
【民法 第606条第1項】
(賃貸人による修繕等)
第六百六条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
イ.正答
地下又は空間を目的とする地上権(区分地上権)は、工作物の所有を目的とする場合に設定することができる。
要点区分地上権は、工作物を所有するために設定できる。
妥当である。地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的にできます(民法269条の2第1項)。普通の地上権が工作物又は竹木の所有を目的にできる(265条)のと違い、区分地上権は竹木の所有を目的にできません。
通説では、区分地上権は、地下鉄のトンネルや送電線のように、地下や空中の一部を上下に区切って使う工作物のための権利と解されています。そのため、目的は工作物の所有に限られています。
【民法 第269条の2第1項】
(地下又は空間を目的とする地上権)
第二百六十九条の二 地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
【民法 第265条】
(地上権の内容)
第二百六十五条 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
ウ.誤答
永小作権は、土地の所有者の承諾なしに譲渡し、又は賃貸することができ、設定行為でこれを禁ずることはできない。
要点永小作権の譲渡・賃貸は、設定行為で禁止できる。
妥当でない。永小作人は、権利を他人に譲渡し、又は存続期間内に耕作若しくは牧畜のため土地を賃貸できますが、設定行為で禁じたときは、できません(民法272条)。
永小作権も物権なので、所有者の承諾なしに譲渡や賃貸ができるのが原則です。ただ、民法は、永小作権については、設定の際の合意で禁じることを認める明文を置いており、当事者の合意で自由な譲渡や賃貸を制限できます。地上権には、このような規定はありません。
【民法 第272条】
(永小作権の譲渡又は土地の賃貸)
第二百七十二条 永小作人は、その権利を他人に譲り渡し、又はその権利の存続期間内において耕作若しくは牧畜のため土地を賃貸することができる。ただし、設定行為で禁じたときは、この限りでない。
エ.正答
地上権者は、物権的請求権を有しており、妨害排除請求権、妨害予防請求権及び返還請求権を行使することができる。
要点地上権者は、妨害排除・妨害予防・返還の各請求権を行使できる。
妥当である。通説では、地上権は物権なので、地上権者は、物権的請求権として、妨害排除請求権、妨害予防請求権及び返還請求権を行使できると解されています。
物権は物を直接支配する権利なので、その支配が妨げられたり、妨げられるおそれがあったり、奪われたりしたときは、相手が誰でも、支配を元に戻すよう求められます。土地の賃借人が、原則として賃貸人を通じて土地を使う立場にあるのと違います。
オ.誤答
民法上、地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができると規定されており、地上権及び永小作権についても、同様の規定がある。
要点継続・外形上認識できるものに限り時効取得できるとの規定は、地役権だけにある。
妥当でない。地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識できるものに限り、時効で取得できます(民法283条)。地上権と永小作権には、このような限定の規定はなく、所有権以外の財産権の取得時効の一般の規定(163条)によります。
通説では、時々通路を通るといった地役権の行使は、土地の所有者が好意で黙認していることも多いので、継続して外から分かる形で行使されるものに限らないと、所有者が思わぬ時効で権利を失うためと解されています。
【民法 第283条】
(地役権の時効取得)
第二百八十三条 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
【民法 第163条】
(所有権以外の財産権の取得時効)
第百六十三条 所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.24
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
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