2025年 国家一般職 問題14
憲法国会の活動と権能
【No. 14】国会に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
ア.誤答
衆議院が解散された場合、参議院は同時に閉会となるが、特別会が召集されるまでの間に、緊急の事態が生じたとき、参議院は、総議員の4分の1以上の要求により、緊急集会を求めることができる。
要点参議院の緊急集会を求めることができるのは、内閣だけである。
妥当でない。衆議院が解散されると参議院は同時に閉会となり、国に緊急の必要があるときに参議院の緊急集会を求めることができるのは、内閣です(日本国憲法54条2項)。総議員の4分の1以上の要求は、臨時会の召集についての決まりです(53条)。
緊急集会は、衆議院がいない間に、特別会を待てない緊急の事態に対応するための「つなぎ」の仕組みです。国に緊急の必要があるかどうかは、国政を担う内閣が判断するものとして、求める権限を内閣だけに与えています。
【日本国憲法 第54条第2項】
衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
【日本国憲法 第53条】
第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
イ.正答
両議院は、それぞれ、出席議員の3分の2以上の多数による議決により、院内の秩序を乱した議員を除名することができる。
要点院内の秩序をみだした議員の除名には、出席議員の3分の2以上の議決が要る。
妥当である。両議院は、院内の秩序をみだした議員を懲罰でき、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決が必要です(日本国憲法58条2項)。
議院が役割を果たせるよう、内部の規律は、ほかの機関の干渉を受けずに議院自身が保ちます(議院の自律)。ただし、除名は、選挙で選ばれた議員の身分を奪い、その議員を選んだ民意を議院の議決で退ける重い処分なので、過半数ではなく3分の2以上の特別多数を求めています。
【日本国憲法 第58条第2項】
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
ウ.誤答
国会議員が国会で行った質疑において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があった場合、その国会議員が、職務とは関わりなく違法な目的をもって事実を摘示し、国会議員に付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認められるときであっても、国会議員には免責特権が認められているので、その国会議員も国も損害賠償責任を負わない。
要点特別の事情があれば、国会議員の発言について国が賠償責任を負う。
妥当でない。判例は、国会議員が、職務とは関わりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示するなど、権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認められる特別の事情があるときは、国が国家賠償責任を負うとしました(最判平9.9.9)。一方、国会議員個人は、職務として行った発言について、被害者に直接の責任を負いません(同判決)。
判例は、質疑で何を取り上げるかは国会議員の広い裁量に委ねられるが、その裁量は職権を十分に行使させるためのものなので、権限の趣旨に明らかに背く行使までは守られない、としました。
【最判平9.9.9 判決理由】
もっとも、国会議員に右のような広範な裁量が認められるのは、その職権の行使を十全ならしめるという要請に基づくものであるから、職務とは無関係に個別の国民の権利を侵害することを目的とするような行為が許されないことはもちろんであり、また、あえて虚偽の事実を摘示して個別の国民の名誉を毀損するような行為は、国会議員の裁量に属する正当な職務行為とはいえないというべきである。 以上によれば、国会議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるものではなく、右責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である。
エ.正答
両議院の一致で議決した場合、国会の会期を延長することができるが、常会の会期を延長したときは、再び両議院の一致で議決したとしても、会期を再延長することはできない。
要点常会の会期の延長は1回に限られ、再延長はできない。
妥当である。国会の会期は、両議院一致の議決で延長できますが、延長できる回数は、常会は1回、特別会と臨時会は2回までです(国会法12条)。常会では、再延長はできません。
会期中に議決されなかった案件は、原則として次の会期に引き継がれないので(68条)、審議が終わらないときに備えて延長が認められています。延長の回数は、常会と、特別会・臨時会とで違う点を、対で押さえておきます。
【国会法 第12条】
第十二条 国会の会期は、両議院一致の議決で、これを延長することができる。
会期の延長は、常会にあつては一回、特別会及び臨時会にあつては二回を超えてはならない。
【国会法 第68条】
第六十八条 会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない。但し、第四十七条第二項の規定により閉会中審査した議案及び懲罰事犯の件は、後会に継続する。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.14
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
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