2024年 国家総合職 問題5
憲法国会の活動と権能
【No. 5】国会に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜オ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
衆議院の優越は、両議院の意思が分かれたときに、衆議院の意思で決着をつける仕組みです。通説では、衆議院は任期が4年と短く解散もあるので、任期6年で解散のない参議院より新しい民意を反映しやすいことが、その理由と解されています。
優越が認められるのは、憲法が定めた事柄と、定めた範囲だけです。それ以外の事柄では、両議院は対等です。法律案については、両議院で可決したとき法律となることを原則にしたうえで、衆議院の再可決などの決着の手続が定められています(日本国憲法59条)。
【日本国憲法 第59条】
第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
ア.誤答
条約の締結に必要な国会の承認については、条約が外国との間における国際法上の権利・義務関係の創設・変更に関わるものであることの重要性に鑑みて、予算の議決の場合と同様に、衆議院に先議権が認められている。
要点条約の承認には、予算と違い、衆議院の先議権は認められていない。
妥当でない。衆議院に先議権があるのは予算です(日本国憲法60条1項)。条約の締結に必要な国会の承認に準用されるのは、両議院の議決が異なるときの決め方を定めた60条2項だけで(61条)、条約の承認には先議権はありません。
61条は、予算の決まりのうち、議決が異なるときに衆議院の議決を国会の議決とする部分だけを、条約の承認に及ぼしています。優越は憲法が定めた範囲に限られるので、準用されていない先議権は、条約には及びません。
【日本国憲法 第60条】
第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
【日本国憲法 第61条】
第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
イ.正答
法律案の議決について、参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
要点参議院が60日以内に議決しないときは、衆議院は否決したものとみなせる。
妥当である。参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができます(日本国憲法59条4項)。そのうえで、衆議院は、出席議員の3分の2以上で再び可決すれば、法律にできます(同条2項)。
参議院が議決をしないで引き延ばすだけで、衆議院の再可決の道を閉ざせないようにするための規定です。待つ期間は、予算・条約の承認の30日、内閣総理大臣の指名の10日と比べて整理します。
ウ.誤答
国会の会期の種類には、常会、臨時会及び特別会があるが、衆議院が解散されたときに、衆議院議員の総選挙の日から30日以内に召集されるのは、臨時会である。
要点衆議院解散後の総選挙の日から30日以内に召集されるのは、特別会である。
妥当でない。衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に国会を召集しなければなりません(日本国憲法54条1項)。この国会は、臨時会ではなく特別会です(国会法1条3項)。
解散によって衆議院議員がいなくなるので、総選挙で選ばれた新しい議員で、速やかに国会を開き直すための会期です。臨時会は、会期の途中などで臨時の必要があるときに召集される国会で、目的が違います。
【日本国憲法 第54条第1項】
第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
【国会法 第1条第3項】
臨時会及び特別会(日本国憲法第五十四条により召集された国会をいう)の召集詔書の公布は、前項によることを要しない。
エ.正答
両議院の議員は、院外における現行犯罪の場合又は議員の所属する議院の許諾のある場合でなければ、国会の会期中逮捕されない。
要点国会議員は、院外の現行犯と院の許諾がある場合を除き、会期中逮捕されない。
妥当である。両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されません(日本国憲法50条)。その「法律の定める場合」が、院外における現行犯罪の場合と、所属する議院の許諾がある場合です(国会法33条)。
通説では、不逮捕特権は、政府などが逮捕を使って議員の活動を妨げ、議院の審議をゆがめることを防ぐためのものと解されています。院外の現行犯は犯罪が明らかで不当な逮捕のおそれが小さく、議院が許諾した場合は、議院自身が審議への影響を判断しているので、例外とされています。
【日本国憲法 第50条】
第五十条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
【国会法 第33条】
第三十三条 各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。
オ.誤答
法律案は、衆議院の優越が認められる場合及び住民投票による住民の同意が必要とされる地方特別法の場合を除き、両議院で可決したとき法律となる。
要点両議院の可決によらない法律の例外には、参議院の緊急集会での議決も含まれる。
妥当でない。法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除いて、両議院で可決したとき法律となります(日本国憲法59条1項)。通説では、この特別の定めには、衆議院の再可決(同条2項)と地方特別法の住民投票(95条)のほか、参議院の緊急集会(54条2項・3項)も含まれると解されています。
緊急集会は、衆議院がいない間に、特別会を待てない緊急の事態に対応するための「つなぎ」の仕組みで、参議院だけで法律を定めることもできます。そのため、採られた措置は臨時のもので、次の国会の開会後10日以内に衆議院の同意がなければ効力を失います。
【日本国憲法 第54条第2項・第3項】
衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
【日本国憲法 第95条】
第九十五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和6年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.5
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
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