2024年 国家総合職 問題30
民法親族
【No. 30】特別養子縁組に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
特別養子縁組は、実の親との親族関係を原則として終わらせ、養親を親とする縁組です。実の親による監護が著しく困難又は不適当であるなど、子の利益のため特に必要があるときに、家庭裁判所が審判で成立させます(民法817条の7)。
実の親子と同じ安定した家庭を子に与えるための制度なので、養親は原則として夫婦がともになり、年齢の要件もあります。成立した後の離縁も、養親による虐待などがあり、実の親が監護できる場合に限られます。
【民法 第817条の7】
(子の利益のための特別の必要性)
第八百十七条の七 特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。
1.誤答
特別養子縁組は、原則として家庭裁判所の審判によって成立するが、一定の要件を満たせば、父母又は未成年後見人と養親となる者との合意のみによっても成立する。
要点特別養子縁組は、養親となる者の請求により家庭裁判所が成立させる。
妥当でない。特別養子縁組は、家庭裁判所が、養親となる者の請求により成立させるものです(民法817条の2第1項)。父母や未成年後見人と養親となる者との合意だけで成立する例外はありません。合意と届出で成立するのは、普通養子縁組です。
特別養子縁組は、実の親との親族関係を終わらせる重い効果を持つので、子の利益のため特に必要かどうかを、家庭裁判所が必ず判断する仕組みにしています。
【民法 第817条の2第1項】
(特別養子縁組の成立)
第八百十七条の二 家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
2.正答
特別養子縁組において養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。また、養親となる者は25歳以上でなければならないが、養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合でも、その者が20歳以上であれば、養親となることができる。
要点養親は配偶者のある25歳以上の者で、夫婦の一方は20歳以上でもよい。
妥当である。特別養子縁組の養親となる者は、配偶者のある者でなければなりません(民法817条の3第1項)。また、25歳に達していることが必要ですが、夫婦の一方が25歳未満でも、20歳に達していれば養親になれます(817条の4)。
特別養子は、実の親に代わる安定した家庭を子に与える制度なので、夫婦がそろって養親になることを求めています。普通養子では、20歳に達していれば、配偶者がなくても養親になれます。
【民法 第817条の3第1項】
(養親の夫婦共同縁組)
第八百十七条の三 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
【民法 第817条の4】
(養親となる者の年齢)
第八百十七条の四 二十五歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が二十五歳に達していない場合においても、その者が二十歳に達しているときは、この限りでない。
3.誤答
特別養子縁組における養子の年齢は6歳未満とされている。ただし、養子となる者が8歳未満であって6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は、この限りでない。
要点養子となる者は、原則として請求の時に15歳未満でなければならない。
妥当でない。養子となる者は、養親となる者の請求の時に15歳未満でなければならず、縁組が成立するまでに18歳に達したときも養子になれません(民法817条の5第1項)。15歳になる前から引き続き養親となる者に監護されていたなどの例外があります(同条2項)。
本肢の6歳未満・8歳未満は、令和2年4月施行の改正の前の決まりです。児童養護施設などにいる子の中にも、家庭で育てるのがふさわしい子が少なくないことから、特別養子縁組を利用しやすくするために、年齢の上限を引き上げました。
【民法 第817条の5第1項・第2項】
(養子となる者の年齢)
第八百十七条の五 第八百十七条の二に規定する請求の時に十五歳に達している者は、養子となることができない。特別養子縁組が成立するまでに十八歳に達した者についても、同様とする。
2 前項前段の規定は、養子となる者が十五歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において、十五歳に達するまでに第八百十七条の二に規定する請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは、適用しない。
4.誤答
特別養子縁組により、養子と養親及びその血族との間には法定血族関係が発生し、他方、養子と実方の父母及びその血族との親族関係も原則として存続する。
要点特別養子縁組により、実方の父母及びその血族との親族関係は終了する。
妥当でない。養子と養親及びその血族との間に、血族と同じ親族関係が生じる点は、そのとおりです(民法727条)。しかし、養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了します(817条の9本文)。実方との親族関係が続くのは、普通養子縁組です。
特別養子縁組は、実の親による養育が望めない子に、養親を実の親と同じ立場とする安定した家庭を与える制度なので、実方との親族関係を終わらせ、養親だけを親とします。
【民法 第727条】
(縁組による親族関係の発生)
第七百二十七条 養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
【民法 第817条の9】
(実方との親族関係の終了)
第八百十七条の九 養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。
5.誤答
特別養子縁組においては、原則として離縁は認められていないが、例外として、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由が存在する場合には、実父母が監護できるか否かにかかわらず、家庭裁判所の審判又は離縁の訴えにより、離縁をすることができる。
要点特別養子の離縁は、実父母が相当の監護をできる場合に審判でのみ認められる。
妥当でない。養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があることに加え、実父母が相当の監護をすることができることも離縁の要件です(民法817条の10第1項)。実父母が監護できるかどうかにかかわらず離縁できるのではありません。
離縁は、家庭裁判所が、養子、実父母又は検察官の請求によりさせるもので、それ以外の離縁はできません(同条2項)。普通養子縁組のような離縁の訴えによる離縁はありません。
離縁すると、実父母との親族関係が元に戻り(817条の11)、子は実父母のもとに戻ることになるので、実父母が監護できることを求めています。
【民法 第817条の10】
(特別養子縁組の離縁)
第八百十七条の十 次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
一 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
二 実父母が相当の監護をすることができること。
2 離縁は、前項の規定による場合のほか、これをすることができない。
【民法 第817条の11】
(離縁による実方との親族関係の回復)
第八百十七条の十一 養子と実父母及びその血族との間においては、離縁の日から、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係を生ずる。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和6年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.30
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 振り仮名を除いています。
- このサイトについて
- 人事院など試験の実施機関とは関係のない、非公式の問題集です。解説は当サイトが作成しています。出典と著作権について:利用規約 第6条
読んで分かったら、次は解いて確かめませんか
解説を読んで分かったつもりでも、自分で解くと迷うことがあります。読み直すより、解いて思い出すほうが記憶に残りやすいとされています。
- 国家一般職・国家総合職の憲法・民法・行政法を、2023〜2026年の173問から解けます。
- 試験通りの5択でも、選択肢を1つずつ判断する形式でも解けます。
- 年度や分野を選んで、続けて解けます。
登録しなくても、すぐ解き始められます。