2024年 国家総合職 問題27
民法契約総論・売買・贈与
【No. 27】民法上の契約の成立に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
ア.誤答
契約は、承諾の意思表示が相手方に到達した時に初めて成立するので、承諾の意思表示が発信され、到達する前に承諾をした者が死亡した場合には、その契約は成立しない。
要点承諾の発信後に承諾者が死亡しても、承諾は効力を失わず、契約は成立する。
妥当でない。契約は、承諾が申込者に到達した時に成立します(民法97条1項、522条1項)。承諾の通知を発した後に承諾者が死亡しても、承諾はそのためにその効力を妨げられないので(97条3項)、到達すれば契約は成立します。
意思表示を受け取った相手方は、表意者の死亡を知らなければ、意思表示が有効だと考えて行動します。それなのに効力を失うとすると、相手方が思わぬ損害を受けるからです。
これに対し、申込者が申込みの通知を発した後に死亡した場合は、相手方が承諾の通知を発するまでにそれを知ったときなどに、申込みは効力を失います(526条)。
【民法 第97条第1項・第3項】
(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
【民法 第522条第1項】
(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
【民法 第526条】
(申込者の死亡等)
第五百二十六条 申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。
イ.誤答
契約の申込みに対し、相手方が申込みの内容に条件を付して承諾をしたときは、申込者が遅滞なくその条件に異議を申し立てない限り、その条件を付した承諾の内容どおりに契約が成立したものとみなされる。
要点条件を付した承諾は、申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされる。
妥当でない。承諾者が申込みに条件を付し、その他変更を加えて承諾したときは、申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされます(民法528条)。申込者が異議を述べなければ、条件を付した内容で契約が成立する、という決まりはありません。
契約は、申込みに対して相手方が承諾したとき、つまり両者の内容が一致したときに成立します(522条1項)。条件を付した承諾は申込みと内容が一致しないので、契約は成立しません。元の申込者がこれを承諾して初めて、変更後の内容で契約が成立します。
【民法 第528条】
(申込みに変更を加えた承諾)
第五百二十八条 承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。
【民法 第522条第1項】
(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
ウ.正答
事業のために負担した貸金債務を主たる債務とする保証契約で、保証人が個人であるものは、原則として、その契約の締結に先立ち、その締結日前1か月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、無効である。
要点事業用貸金債務の個人保証は、保証意思宣明公正証書がなければ効力を生じない。
妥当である。事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約は、締結の日前1か月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、効力を生じません(民法465条の6第1項)。保証人が法人の場合は適用されず(同条3項)、主たる債務者の取締役などの経営者が保証人になる場合も例外とされています。
個人的な情義などから保証人になった人が、思いがけない多額の保証債務を求められ、生活が破綻する例が後を絶ちませんでした。そこで、公証人が保証人本人から直接、保証の意思を確かめる手続を設けました。
【民法 第465条の6第1項・第3項】
(公正証書の作成と保証の効力)
第四百六十五条の六 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
3 前二項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。
エ.誤答
承諾の期間を定めないでした申込みは、原則として、相手方の承諾が到達するまでは、いつでも撤回することができる。
要点承諾期間の定めのない申込みは、相当な期間を経過するまで撤回できない。
妥当でない。承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回できません(民法525条1項本文)。撤回する権利を留保したときは、この限りでありません(同項ただし書)。
申込みを受けた人は、承諾するかどうかを決めるために、調べたり準備したりして費用をかけることがあります。すぐに撤回できるとすると、その人が損失を受けるので、一定の期間は撤回を制限しています。
ただし、対話者に対してした申込みは、対話が続いている間はいつでも撤回できます(同条2項)。
【民法 第525条第1項・第2項】
(承諾の期間の定めのない申込み)
第五百二十五条 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和6年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.27
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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