2024年 国家総合職 問題19
行政法地方自治
【No. 19】地方自治法の定める地方公共団体に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
1.誤答
地方公共団体は、普通地方公共団体と特別地方公共団体に分かれ、地方公共団体の組合である一部事務組合及び広域連合は、普通地方公共団体に分類される。
要点一部事務組合と広域連合は、地方公共団体の組合で、特別地方公共団体である。
妥当でない。地方公共団体は普通地方公共団体と特別地方公共団体に分かれ、一部事務組合と広域連合は、地方公共団体の組合として、特別地方公共団体に分類されます(地方自治法1条の3、284条1項)。普通地方公共団体は、都道府県と市町村です。
普通地方公共団体は、地域の行政を総合的に担う基本の団体です。組合は、地方公共団体が事務の一部を共同で処理するなど、特定の目的のために設けるものなので、特別地方公共団体とされています。
【地方自治法 第1条の3】
第一条の三 地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。
普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする。
特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合及び財産区とする。
【地方自治法 第284条第1項】
(組合の種類及び設置)
第二百八十四条 地方公共団体の組合は、一部事務組合及び広域連合とする。
2.誤答
普通地方公共団体の執行機関は、普通地方公共団体の長に限られる。また、普通地方公共団体に置くこととされている教育委員会、選挙管理委員会及び人事委員会は、補助機関として長の指示に従い職権を行使する。
要点執行機関には長のほか委員会・委員があり、委員会は長から独立して職権を行う。
妥当でない。普通地方公共団体には、執行機関として、長のほか、委員会又は委員が置かれます(地方自治法138条の4第1項)。教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会(置かない団体では公平委員会)は、どの普通地方公共団体にも置かなければならない執行機関で(180条の5第1項)、長の補助機関ではなく、自らの権限で職務を行います。
通説では、教育、選挙、人事のように政治的な中立性や公正さが特に求められる分野の権限を、長一人に集めず、長から独立した委員会に分けて持たせたもの(執行機関の多元主義)と解されています。
【地方自治法 第138条の4第1項】
第百三十八条の四 普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置く。
【地方自治法 第180条の5第1項】
第百八十条の五 執行機関として法律の定めるところにより普通地方公共団体に置かなければならない委員会及び委員は、左の通りである。
一 教育委員会
二 選挙管理委員会
三 人事委員会又は人事委員会を置かない普通地方公共団体にあつては公平委員会
四 監査委員
3.誤答
普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長又は職員について、違法に公金の賦課若しくは徴収又は財産の管理を怠る事実があると認められ、かつ、緊急の必要があるときは、住民監査請求を行うことなく、直ちに住民訴訟を提起することができる。
要点住民訴訟を提起するには、住民監査請求を経なければならない。
妥当でない。住民訴訟は、住民監査請求をした住民が、監査の結果や勧告などに不服があるときに提起できるもので(地方自治法242条の2第1項)、住民監査請求を経ずに提起することはできません(監査請求前置)。緊急の必要があるときも同じです。
まず地方公共団体の内部の監査委員に、違法な行為などを正す機会を与え、それでも正されないときに裁判所の判断を求める、という順序にしています。緊急の必要があるときは、監査委員が、監査の手続の中で行為の停止を勧告できます(242条4項)。
【地方自治法 第242条の2第1項】
(住民訴訟)
第二百四十二条の二 普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第五項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査若しくは勧告を同条第六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。
(略)
【地方自治法 第242条第4項】
(住民監査請求)
4 第一項の規定による請求があつた場合において、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があり、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関又は職員に対し、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。この場合において、監査委員は、当該勧告の内容を第一項の規定による請求人(以下この条において「請求人」という。)に通知するとともに、これを公表しなければならない。
4.誤答
指定都市は、区域区分に関する都市計画決定や児童相談所の設置など都道府県が処理することとされている事務の一部を処理することができる。また、中核市は、都道府県が処理することとされている事務のうち、指定都市において処理することが適当でない事務で政令で定めるものを処理することができる。
要点中核市の事務は、指定都市の事務から中核市に適当でない事務を除いたものである。
妥当でない。中核市が処理できるのは、指定都市が処理できる事務のうち、都道府県が一体的に処理する方が効率的な事務など、中核市において処理することが適当でない事務以外の事務で政令で定めるものです(地方自治法252条の22第1項)。「指定都市において処理することが適当でない事務」ではありません。
前半の指定都市の部分は、そのとおりです(児童相談所の設置は252条の19第1項の児童福祉に関する事務、区域区分の決定は都市計画法の特例による)。
中核市は指定都市より小さい市なので、指定都市の事務を基準に、中核市に向かない事務を除いた範囲を処理します。
【地方自治法 第252条の22第1項】
(中核市の権能)
第二百五十二条の二十二 政令で指定する人口二十万以上の市(以下「中核市」という。)は、第二百五十二条の十九第一項の規定により指定都市が処理することができる事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが中核市が処理することに比して効率的な事務その他の中核市において処理することが適当でない事務以外の事務で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。
【地方自治法 第252条の19第1項】
(指定都市の権能)
第二百五十二条の十九 政令で指定する人口五十万以上の市(以下「指定都市」という。)は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。
一 児童福祉に関する事務
(略)
5.正答
普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、国又は都道府県の関与を受けることはない旨地方自治法に規定されていることから、国又は都道府県は、これらに基づかない省令又は通達を根拠として関与を行うことはできない。
要点関与は法律又はこれに基づく政令によらなければならず、省令・通達ではできない。
妥当である。地方自治法245条の2(関与の法定主義)のとおりです。法律やこれに基づく政令の根拠がなく、省令や通達だけを根拠に、国や都道府県が関与することはできません。
国や都道府県の関与は、地方公共団体の自主性・自立性を制約するものなので(245条の3第1項)、どのような場合にどのような関与ができるかを国会が法律で決め、行政の内部の通達などで関与が広がらないようにしているのです。
【地方自治法 第245条の2】
(関与の法定主義)
第二百四十五条の二 普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。
【地方自治法 第245条の3第1項】
(関与の基本原則)
第二百四十五条の三 国は、普通地方公共団体が、その事務の処理に関し、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとする場合には、その目的を達成するために必要な最小限度のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しなければならない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和6年度 国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)専門試験(多肢選択式)(法律区分)」No.19
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 振り仮名を除いています。
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