2024年 国家一般職 問題28
民法契約総論・売買・贈与
【No. 28】売買契約における契約不適合責任に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜オ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
売主は、種類・品質・数量について契約の内容に適合した物を引き渡す義務を負います。適合しない物を引き渡したときは、買主は、履行の追完(修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し)、代金の減額、損害賠償、契約の解除を求めることができます。
どれを求められるかは、不適合がどちらの責めに帰すべき事由(落ち度など、責任を負うべき事情)によるかで分かれます。
買主の責めによるとき:どれも求められない
どちらの責めにもよらないとき:追完・代金減額・解除は求められるが、損害賠償は求められない
売主の責めによるとき:すべて求められる
ア.正答
売買契約に基づき引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して当該契約の内容に適合しないものである場合、買主は、売主に対し、履行の追完を請求することができるが、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
要点売主は、買主に不相当な負担を課さなければ、別の方法で追完できる。
妥当である。引き渡された目的物が契約の内容に適合しないときは、買主は追完を請求できますが、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法で追完できます(民法562条1項)。
追完の方法は、適切な追完に最も強い利害を持つ買主が、まず選べます。ただ、不適合の事情によっては、買主の選んだ方法を売主が常に受け入れるべきとはいえないので、買主に不相当な負担にならない限り、売主が別の方法を選べるとして、両者を調整しています。
【民法 第562条第1項】
(買主の追完請求権)
第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
イ.誤答
売買契約に基づき引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して当該契約の内容に適合しないものである場合、売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示しても、買主は、相当の期間を定めて履行の追完を催告しなければ、代金の減額を請求することができない。
要点売主が追完を明確に拒絶したときは、催告なく代金の減額を請求できる。
妥当でない。代金の減額を請求するには、原則として相当の期間を定めて追完の催告をする必要がありますが(民法563条1項)、売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したときは、催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求できます(同条2項2号)。
催告を求めるのは、売主に追完の機会を与えるためです。売主がはっきり追完を拒んでいるなら、催告しても意味がないので、催告は要りません。
【民法 第563条第1項・第2項】
(買主の代金減額請求権)
第五百六十三条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
(略)
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
(略)
ウ.正答
売買契約に基づき引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して当該契約の内容に適合しないものである場合において、その不適合が買主の帰責事由によるものであったときは、買主は、履行の追完又は代金の減額を請求することができない。
要点不適合が買主の帰責事由によるときは、追完も代金減額も請求できない。
妥当である。目的物の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、履行の追完を請求できず(民法562条2項)、代金の減額も請求できません(563条3項)。
不適合の原因を自ら作った買主に、売主の負担で直させたり、代金を減らさせたりするのは、公平ではないからです。
【民法 第562条第2項】
(買主の追完請求権)
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
【民法 第563条第3項】
(買主の代金減額請求権)
3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。
エ.誤答
売主が数量に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその引渡しの時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として履行の追完を請求することができない。
要点期間内の通知が必要なのは種類・品質の不適合で、起算点は知った時である。
妥当でない。買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないと権利を失うのは、種類又は品質に関する不適合の場合です(民法566条)。数量に関する不適合には、この期間の制限はありません。
また、1年の期間は、引渡しの時からではなく、買主がその不適合を知った時から数えます。
引渡しが済めば、売主は履行を終えたと考えるのが通常で、品質の不具合は、時間がたつと判断が難しくなります。そこで、不適合を知った買主に、早めに通知することを求めています。
【民法 第566条】
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
オ.誤答
売主が買主に特定された目的物を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失したときは、買主は、代金の支払を拒むことができる。
要点引渡し後に双方の帰責事由なく滅失しても、買主は代金の支払を拒めない。
妥当でない。売主が特定した目的物を買主に引き渡した後に、その目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失したときは、買主は、その滅失を理由に追完・代金減額・損害賠償・解除を求めることができず、代金の支払を拒むこともできません(民法567条1項)。
引渡しによって、目的物を実際に支配するのは買主になります。それ以後の偶然の滅失・損傷の危険は、物を支配している買主が負うという考え方で、取引の実務でも、引渡しの時に危険が移るとするのが通常です。
【民法 第567条第1項】
(目的物の滅失等についての危険の移転)
第五百六十七条 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和6年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.28
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
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