2024年 国家一般職 問題19
行政法行政事件訴訟の類型
【No. 19】不作為の違法確認の訴えに関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
不作為の違法確認の訴えは、法令に基づく申請をしたのに、行政庁が相当の期間内に応答しないとき、その放置が違法であることを確かめて、応答を促す訴えです(行政事件訴訟法3条5項)。判決が確かめるのは応答しないことの違法だけで、申請を認めるべきかどうかは決めません。
このように、申請をした人が自分の申請への応答を求めるための訴えなので、取消訴訟の規定は、この訴えに合うものだけが準用されています(38条)。
【行政事件訴訟法 第3条第5項】
(抗告訴訟)
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
【行政事件訴訟法 第38条第1項・第4項】
(取消訴訟に関する規定の準用)
第三十八条 第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。
4 第八条及び第十条第二項の規定は、不作為の違法確認の訴えに準用する。
1.誤答
不作為の違法確認訴訟は、相当の期間内に行政庁が何らかの処分又は裁決をすべきであるのにこれをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいい、必ずしも原告が現実に法令に基づく申請をしたことを要せず、職権による措置の不作為についても訴えを提起することができる。
要点不作為の違法確認の訴えは、申請をした者に限り提起できる。
妥当でない。不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起できます(行政事件訴訟法37条)。対象も、法令に基づく申請に対する不作為で(3条5項)、職権による措置の不作為は含まれません。
この訴えは、申請をした人が、自分の申請への応答を求めるためのものだからです。申請権のない人が行政に職権での措置を求めるには、申請を前提としない義務付けの訴えを使います。
【行政事件訴訟法 第37条】
(不作為の違法確認の訴えの原告適格)
第三十七条 不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。
2.誤答
不作為の違法確認訴訟については、取消訴訟の出訴期間の規定の準用はないが、相当の期間を経過した後は、行政行為の不可争力により、処分又は裁決の不作為が継続していても、不作為の違法確認訴訟を提起することはできなくなる。
要点不作為の違法確認の訴えは、不作為が続く限り提起できる。
妥当でない。不作為の違法確認の訴えには、取消訴訟の出訴期間の規定(行政事件訴訟法14条)は準用されていません(38条)。また、処分がされていないので、不可争力(期間が過ぎると処分を争えなくなる効力)も生じません。不作為が続く限り、いつでも提起できます。
出訴期間は、された処分の効力を早く確定させるためのものです。この訴えでは、確定させる処分がなく、違法な放置が今も続いているので、期間で区切る理由がありません。「相当の期間」の経過は、むしろ不作為が違法になるための要件です。
【行政事件訴訟法 第14条第1項】
(出訴期間)
第十四条 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
3.正答
不作為の違法確認訴訟については、取消判決の拘束力の規定が準用されるため、原告である申請者が不作為の違法確認訴訟で勝訴した場合、申請を受けた被告行政庁は、当該申請に応答する義務を負うが、当該申請を拒否する応答をすることもできる。
要点勝訴判決の後も、行政庁は申請を拒否する応答をすることができる。
妥当である。不作為の違法確認の訴えには、取消判決の拘束力の規定(行政事件訴訟法33条)が準用されます(38条1項)。勝訴判決が確定すると、行政庁は申請に応答する義務を負いますが、申請を拒否する処分をすることもできます。
判決が確かめたのは、応答しないことが違法だという点だけで、申請を認めるべきかどうかは審理していないからです。申請どおりの処分を求めたいときは、義務付けの訴えを併せて提起します。
【行政事件訴訟法 第33条第1項】
第三十三条 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。
4.誤答
不作為の違法確認訴訟については、義務付け訴訟を併合提起することなく仮の救済として仮の義務付けを申し立てることができ、償うことのできない損害を避けるために緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は仮の義務付けができる。
要点仮の義務付けを申し立てるには、義務付けの訴えの提起が必要である。
妥当でない。仮の義務付けは、義務付けの訴えの提起があった場合に、申し立てることができます(行政事件訴訟法37条の5第1項)。不作為の違法確認の訴えだけを提起しても、申し立てられません。
仮の救済は、本案の訴えで求める判決の中身を、判決までの間、仮に実現するものです。不作為の違法確認の訴えの判決は処分を命じないので、それを先取りして処分を仮に命じることはできません。
【行政事件訴訟法 第37条の5第1項】
(仮の義務付け及び仮の差止め)
第三十七条の五 義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
5.誤答
法令に基づいて申請を行った後に、行政庁が申請処理に通常必要な期間を経過しても応答しない場合、審査請求をすることは直接的かつ適切な方法ではないため、申請者は、審査請求をすることはできず、不作為の違法確認訴訟を提起しなければならない。
要点申請に対する不作為についても、審査請求をすることができる。
妥当でない。法令に基づく申請をした者は、相当の期間が経過しても行政庁が応答しないときは、不作為についての審査請求をすることができます(行政不服審査法3条)。審査請求と不作為の違法確認の訴えのどちらを使うかは、原則として申請者が選べます(行政事件訴訟法38条4項・8条1項。自由選択主義)。
審査請求は行政が自ら簡易迅速に見直す手続、訴訟は裁判所の判断を受ける手続で、性質の違う救済なので、法律に特別の定めがない限り、どちらか一方に限っていません。
【行政不服審査法 第3条】
(不作為についての審査請求)
第三条 法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。
【行政事件訴訟法 第8条第1項】
(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)
第八条 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和6年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.19
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 振り仮名を除いています。
- このサイトについて
- 人事院など試験の実施機関とは関係のない、非公式の問題集です。解説は当サイトが作成しています。出典と著作権について:利用規約 第6条
読んで分かったら、次は解いて確かめませんか
解説を読んで分かったつもりでも、自分で解くと迷うことがあります。読み直すより、解いて思い出すほうが記憶に残りやすいとされています。
- 国家一般職・国家総合職の憲法・民法・行政法を、2023〜2026年の173問から解けます。
- 試験通りの5択でも、選択肢を1つずつ判断する形式でも解けます。
- 年度や分野を選んで、続けて解けます。
登録しなくても、すぐ解き始められます。