2024年 国家一般職 問題17
行政法行政手続法
【No. 17】行政手続法に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜オ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
ア.正答
行政手続法は、行政手続に関する一般法であり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とするものである。
要点行政手続法は、行政運営の公正の確保と透明性の向上を図ることを目的とする。
妥当である。行政手続法は、処分、行政指導、届出、命令等を定める手続に共通する事項を定める一般法で、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に役立てることを目的としています(行政手続法1条1項)。
行政手続法が定めるのは、処分の要件のような中身ではなく、結論に至るまでの手続です。審査基準、理由の提示、意見を述べる機会などで判断の過程を公正で見えるものにし、その結果として国民の権利利益を守ります。目的規定の「もって」は、この関係を表しています。
【行政手続法 第1条第1項】
(目的等)
第一条 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
イ.誤答
行政手続法は、同法第3条により同法の規定の適用が除外される場合を除いて、全ての処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に適用され、他の法律に特別の定めを置いて行政手続法の適用を除外することはできない。
要点行政手続法に規定する事項でも、他の法律に特別の定めがあればそれによる。
妥当でない。行政手続法に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによります(行政手続法1条2項)。他の法律で、同法と違う手続を定めたり、同法の適用を除いたりすることができます。
行政手続法は、さまざまな行政分野に共通する手続を定めた一般法です。分野によっては、その性質に合った特別の手続が必要になるので、個別の法律で定めた特別の手続が優先するようにしています。
【行政手続法 第1条第2項】
(目的等)
2 処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。
ウ.誤答
行政手続法は、行政庁が不利益処分をしようとする場合における処分の名宛人の意見陳述のための手続として、聴聞と弁明の機会の付与の二つを規定しており、許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、原則としていずれも行わなければならない旨を規定している。
要点許認可等を取り消す不利益処分では、弁明の機会の付与ではなく聴聞を行う。
妥当でない。意見陳述のための手続は、不利益処分の種類に応じて、聴聞か弁明の機会の付与のどちらか一方を行います。許認可等を取り消す不利益処分では、聴聞を行います(行政手続法13条1項1号イ)。
許認可等の取消しは、行政庁の一方的な意思表示で、許認可によってできた法律関係を直接に消滅させるもので、相手方への影響が大きいので、より手厚い聴聞が求められます。
聴聞:期日に出頭して意見を述べ、証拠を出し、行政庁の職員に質問もできる口頭の手続
弁明の機会の付与:原則として書面(弁明書)を出して行う簡易な手続(29条1項)
【行政手続法 第13条第1項】
(不利益処分をしようとする場合の手続)
第十三条 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一 次のいずれかに該当するとき 聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
(略)
二 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与
【行政手続法 第29条第1項】
(弁明の機会の付与の方式)
第二十九条 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してするものとする。
エ.誤答
行政手続法は、行政機関が命令等を定めようとする場合には、命令等で定めようとする内容を示す案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めるよう努める旨を規定している。
要点命令等を定めるときの意見公募は、努力義務ではなく義務である。
妥当でない。命令等制定機関は、命令等を定めようとするときは、案と関連資料をあらかじめ公示し、意見の提出先と期間を定めて、広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項)。努力義務ではありません。
命令等は、多くの人に一律に及ぶ決まりです。定める前に案を示して意見や情報を募ることで、命令等制定機関の判断が適正なものになるようにしています。
【行政手続法 第39条第1項】
(意見公募手続)
第三十九条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。
オ.正答
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名宛人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
要点不利益処分をするときは、原則として同時に理由を示さなければならない。
妥当である。行政庁は、不利益処分をするときは、名あて人に対し、同時に理由を示さなければなりません。ただし、理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は別です(行政手続法14条1項)。
判例は、理由の提示は、不利益処分が名あて人に直接義務を課し権利を制限するものであることから、行政庁の恣意を抑え、名あて人が不服を申し立てやすくするためのものだとしています(最判平23.6.7)。
【最判平23.6.7 判決理由】
行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。
【行政手続法 第14条第1項】
(不利益処分の理由の提示)
第十四条 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和6年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.17
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
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