2023年 国家一般職 問題26
民法連帯債務・保証
【No. 26】保証に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
保証債務は、主たる債務の履行を担保するための債務です。そのため、主たる債務に従い(付従性)、主たる債務に生じたことは、原則として保証債務にも及びます。
また、保証人は、自分が利益を受けないのに他人の債務を負い、予想を超える責任を負うおそれがあります。そこで民法は、保証人が慎重に判断できるようにし、負担が膨らまないようにする決まりを置いています。
ア.誤答
保証契約は、主たる債務の債権者と保証人になろうとする者が、主たる債務の保証をする旨を書面によらず口頭で合意した場合にも、その効力を生ずる。
要点保証契約は、書面でしなければ効力を生じない。
妥当でない。保証契約は、書面でしなければ効力を生じません(民法446条2項)。内容を記録した電磁的記録でしたときは、書面でしたものとみなされます(同条3項)。口頭の合意だけでは効力を生じません。
通説では、保証は、見返りなく他人の債務を負う危険な契約で、軽率に引き受けられやすいので、書面を求めて慎重に判断させ、保証する意思をはっきりさせる趣旨と解されています。
【民法 第446条第2項・第3項】
(保証人の責任等)
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
イ.誤答
保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担した場合において、債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求することができる。
要点連帯保証人には、催告の抗弁権がない。
妥当でない。保証人は、債権者から請求を受けたとき、まず主たる債務者に催告するよう求めることができます(民法452条。催告の抗弁)。しかし、主たる債務者と連帯して債務を負担する連帯保証人には、この権利がありません(454条)。
普通の保証人は、主たる債務者が履行しないときに初めて払う立場です(446条1項)。連帯保証人は、主たる債務者と連帯して払うことを引き受けたので、その順番を主張できません。
【民法 第452条】
(催告の抗弁)
第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
【民法 第454条】
(連帯保証の場合の特則)
第四百五十四条 保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。
【民法 第446条第1項】
(保証人の責任等)
第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
ウ.正答
主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
要点主たる債務者についての時効の完成猶予・更新は、保証人にも及ぶ。
妥当である。主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても効力を生じます(民法457条1項)。
通説では、保証債務は主たる債務を担保するものなので、主たる債務が時効にかからず残っているのに、保証債務だけが時効で消えると担保の役割を果たせないため、と解されています。
【民法 第457条第1項】
(主たる債務者について生じた事由の効力)
第四百五十七条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
エ.正答
個人根保証契約は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を定めなければ、その効力を生じない。
要点個人根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じない。
妥当である。個人根保証契約(不特定の債務を保証する根保証のうち、保証人が個人のもの)は、極度額(保証人が責任を負う上限の額)を定めなければ、効力を生じません(民法465条の2第2項)。
根保証では、将来どれだけの債務が生じるか分からないので、上限がないと、個人の保証人が想定外の多額の責任を負うおそれがあります。そこで、上限を契約で決めさせています。
【民法 第465条の2第1項・第2項】
(個人根保証契約の保証人の責任等)
第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和5年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.26
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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