2023年 国家一般職 問題15
憲法内閣の組織と権能
【No. 15】次のア~カの記述のうち、憲法上、内閣の権限又は事務とされているもののみを全て挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜カ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
どの機関の権限かは、憲法がその機関に与えた立場から考えると整理できます。
内閣:行政権の担い手として(日本国憲法65条)、法律を執行し、国の行政を進める仕事を行います。
内閣総理大臣:内閣の首長として、内閣のまとまりを保つための権限を持ちます。
天皇:国政に関する権能を持たず(4条1項)、内閣の助言と承認により、形式的・儀礼的な国事行為だけを行います。
国会:国民の代表として、立法と、ほかの機関を監督する仕事を行います。
【日本国憲法 第4条第1項】
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
【日本国憲法 第65条】
第六十五条 行政権は、内閣に属する。
ア.誤答
大使及び公使の信任状を認証すること。
要点大使及び公使の信任状の認証は、天皇の国事行為である。
妥当でない。大使及び公使の信任状を認証するのは、内閣ではなく天皇で、国事行為の一つです(日本国憲法7条5号)。内閣は、この国事行為に助言と承認を与えます。
天皇は国政に関する権能を持たないので、行うのは、すでに決まったことを公に証明するような、形式的・儀礼的な行為です。大使・公使を任命するかどうかを実際に決めるのは内閣で、天皇の認証は、それを公に証明するものです。
【日本国憲法 第7条第5号】
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
イ.誤答
国務大臣の訴追について同意すること。
要点国務大臣の訴追の同意は、内閣総理大臣の権限である。
妥当でない。国務大臣の在任中の訴追(検察官が起訴すること)に同意するのは、内閣ではなく内閣総理大臣です(日本国憲法75条)。
通説では、75条は、検察が国務大臣を訴追して内閣の活動を妨げることを防ぎ、内閣の一体性を保つためのものと解されています。そのため、国務大臣を任命し罷免できる(68条)内閣の首長が、訴追に同意するかどうかを判断します。
【日本国憲法 第75条】
第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。
【日本国憲法 第68条】
第六十八条 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
ウ.正答
官吏に関する事務を掌理すること。
要点官吏に関する事務の掌理は、内閣の事務である。
妥当である。法律の定める基準に従い、官吏(国の公務員)に関する事務を掌理(とりまとめて処理)することは、内閣の事務です(日本国憲法73条4号)。
公務員は行政の仕事を実際に担う人なので、行政権を持つ内閣が、その人事などの事務を行います。ただし、どのような基準で任用し処遇するかの大枠は、国民の代表である国会が法律で定め、内閣はそれに従います。
【日本国憲法 第73条第4号】
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
エ.正答
予算を作成して国会に提出すること。
要点予算を作成して国会に提出することは、内閣の事務である。
妥当である。予算を作成して国会に提出することは、内閣の事務です(日本国憲法73条5号、86条)。国会は、提出された予算を審議し議決します。
予算は1年間の行政の計画なので、行政を担い、必要な経費を把握している内閣が作ります。一方、国のお金の使い方は国民の負担に関わるので、国民の代表である国会の議決を経なければなりません。
【日本国憲法 第73条第5号】
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
五 予算を作成して国会に提出すること。
【日本国憲法 第86条】
第八十六条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
オ.正答
条約を締結すること。
要点条約の締結は、内閣の事務である。
妥当である。条約を締結することは、内閣の事務です(日本国憲法73条3号)。ただし、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経なければなりません(同号ただし書)。
条約は外国との交渉を経て結ぶものなので、外交関係の処理を担う内閣が締結します。一方、条約は国の権利義務を定め、国民の生活にも影響するので、国民の代表である国会の承認を必要としています。
【日本国憲法 第73条第3号】
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
カ.誤答
弾劾裁判所を設置すること。
要点弾劾裁判所を設けるのは、国会である。
妥当でない。罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するための弾劾裁判所は、国会が、両議院の議員で組織して設けます(日本国憲法64条1項)。
裁判官は、裁判の独立を守るため、弾劾などによらなければ罷免されず、行政機関による懲戒も禁じられています(78条)。その罷免を国民の代表である国会に委ねることで、内閣の介入を避けつつ、裁判官に対する民主的な監督を及ぼしています。
【日本国憲法 第64条第1項】
第六十四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
【日本国憲法 第78条】
第七十八条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和5年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.15
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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