2026年 国家一般職 問題30
民法親族
【No. 30】婚姻に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
1.誤答
養子とその養親は、離縁により親族関係が終了した後であれば、婚姻をすることができる。
要点養子と養親は、離縁により親族関係が終了した後も婚姻できない。
妥当でない。養子と養親の間では、離縁によって親族関係が終了した後でも、婚姻できません(民法736条)。
養親子は、血のつながりはなくても親子として扱われた関係です。親子のような関係にあった者どうしの婚姻を避けるという理由は、離縁で法律上の関係が終わっても変わらないので、禁止が続きます。
【民法 第736条】
(養親子等の間の婚姻の禁止)
第七百三十六条 養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第七百二十九条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。
2.誤答
成年被後見人が婚姻する場合には、その成年後見人の同意を要する。
要点成年被後見人の婚姻には、成年後見人の同意は要らない。
妥当でない。成年被後見人が婚姻をするには、成年後見人の同意を要しません(民法738条)。
通説では、婚姻するかどうかは本人の意思で決めるべきことで、他人の同意で左右すべきものではないと解されています。そのため、婚姻の意味を理解できる状態であれば、成年被後見人も自分だけで婚姻できます。遺言に、財産上の取引についての行為能力の決まりが適用されないのと同じ考え方です。
令和8年6月公布の改正(令和10年12月までに施行予定)で、後見・保佐・補助の制度は補助の制度にまとめられ、738条は削られます。施行後は「成年被後見人」という区分がなくなりますが、補助人の同意が要る行為として改正後の民法が挙げるのは財産上の行為で、婚姻は含まれていません。
【民法 第738条】
(成年被後見人の婚姻)
第七百三十八条 成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。
3.誤答
直系血族又は4親等内の傍系血族の間では、原則として婚姻をすることができないため、いとことの婚姻は認められない。
要点いとこは4親等の傍系血族なので、婚姻できる。
妥当でない。婚姻が禁止されるのは、直系血族又は三親等内の傍系血族の間です(民法734条1項)。いとこは四親等の傍系血族なので、婚姻できます。
傍系の親等は、共通の祖先までさかのぼり、そこから相手まで下りる世代の数で数えます。いとこの場合、自分から親(1)、祖父母(2)と上り、おじ・おば(3)、いとこ(4)と下りるので、四親等です。三親等のおじ・おばとは婚姻できません。
【民法 第734条第1項】
(近親者間の婚姻の禁止)
第七百三十四条 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
4.誤答
夫婦間で財産契約が締結されていない場合において、夫婦の一方が婚姻前から有する財産は、婚姻後もその者が単独で有するものであるが、夫婦の一方が婚姻中に自己の名で得た財産は、その夫婦の共有に属するものと推定される。
要点婚姻中に自己の名で得た財産は、その者の特有財産となる。
妥当でない。夫婦の一方が婚姻前から有する財産も、婚姻中に自己の名で得た財産も、その者の特有財産(夫婦の一方が単独で持つ財産)です(民法762条1項)。共有と推定されるのは、夫婦のどちらのものか明らかでない財産です(同条2項)。
民法は、夫婦であっても財産は別々に持つこと(夫婦別産制)を原則にしています。そのうえで、どちらのものか分からない財産だけを、争いを避けるために共有と推定しています。
【民法 第762条】
(夫婦間における財産の帰属)
第七百六十二条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
5.正答
AとBが事実上の夫婦共同生活を営んでおり、両名がその婚姻意思に基づいて婚姻届を作成した。その後、当該婚姻届が受理されたが、その時点ではAは完全に昏睡状態に陥り、意識を失っていた。この場合、当該婚姻届の受理前にAが翻意したなど特段の事情のない限り、その受理により婚姻は有効に成立する。
要点受理時に意識を失っていても、特段の事情がなければ婚姻は有効に成立する。
妥当である。判例は、事実上の夫婦共同生活をしている者が、婚姻の意思を持ち、その意思に基づいて婚姻届を作成したときは、受理の時に意識を失っていても、受理前に翻意したなど特段の事情のない限り、受理によって婚姻は有効に成立するとしました(最判昭44.4.3)。
判例は、反対に解すると、婚姻の意思を失ったことがなく共同生活も続いているのに、受理の瞬間にたまたま意識を失っていたというだけで、その後に意識を回復した場合でさえ婚姻が成立しないことになり、きわめて不合理だとしています。
【最判昭44.4.3 判決理由】
しかしながら、本件婚姻届がEの意思に基づいて作成され、同人がその作成当時婚姻意思を有していて、同人と上告人との間に事実上の夫婦共同生活関係が存続していたとすれば、その届書が当該係官に受理されるまでの間に同人が完全に昏睡状態に陥り、意識を失つたとしても、届書受理前に死亡した場合と異なり、届出書受理以前に翻意するなど婚姻の意思を失う特段の事情のないかぎり、右届書の受理によつて、本件婚姻は、有効に成立したものと解すべきである。もしこれに反する見解を採るときは、届書作成当時婚姻意思があり、何等この意思を失つたことがなく、事実上夫婦共同生活関係が存続しているのにもかゝわらず、その届書受理の瞬間に当り、たまたま一時的に意識不明に陥つたことがある以上、その後再び意識を回復した場合においてすらも、右届書の受理によつては婚姻は有効に成立しないものと解することとなり、きわめて不合理となるからである。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和8年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.30
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 振り仮名を除いています。
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