2025年 国家一般職 問題30
民法相続
【No. 30】相続に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜エ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
ア.正答
相続人が自分に有利になるように、被相続人の遺言書を偽造した場合であっても、当該相続人の子が代襲相続人となる。
要点遺言書を偽造した相続人は欠格となるが、その子は代襲相続人となる。
妥当である。相続に関する被相続人の遺言書を偽造した者は、相続人となることができません(民法891条5号。相続欠格)。被相続人の子が相続欠格によって相続権を失ったときは、その者の子が代襲して相続人となります(887条2項)。
通説では、相続欠格は、不正をした本人から相続権を奪う制裁なので、不正に関わっていないその子まで不利益を受ける理由はないと解されています。これに対し、相続放棄は代襲の原因になりません。
【民法 第891条】
(相続人の欠格事由)
第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
(略)
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
【民法 第887条第2項】
(子及びその代襲者等の相続権)
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
イ.正答
被相続人が遺言をせず、共同相続人間で遺産分割を禁止する契約がない場合は、相続の承認又は放棄をすべき期間内であっても、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
要点遺産分割は、熟慮期間内でも、協議でいつでもすることができる。
妥当である。共同相続人は、遺言で分割が禁じられた場合や、分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、協議で遺産の全部又は一部を分割できます(民法907条1項)。相続の承認又は放棄をすべき期間(熟慮期間)内であっても、分割できます。
熟慮期間は、相続するかどうかを決めるための期間で、分割の時期を制限するものではありません。相続人が複数いると、遺産は分割まで共有の状態になりますが、この共有は、本来、分割で早く解消されるべき一時的なものなので、いつでも分割できることを原則にしています。
【民法 第907条第1項】
(遺産の分割の協議又は審判)
第九百七条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
ウ.誤答
遺産分割協議後に認知されて相続人となった者がいる場合は、その者も含めて、遺産分割協議を再度行わなければならない。
要点分割後に認知で相続人となった者は、価額のみの支払を請求できる。
妥当でない。相続の開始後に認知によって相続人となった者が遺産の分割を求めようとしても、ほかの共同相続人がすでに分割などをしていたときは、価額のみによる支払を請求できるにとどまります(民法910条)。遺産分割協議をやり直す必要はありません。
通説では、分割をやり直すと、すでに分けられた財産や、それを取得した第三者との関係が覆り、法律関係が不安定になるので、分割の効力は維持し、相続分に当たる価額の支払で調整すると解されています。
【民法 第910条】
(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
第九百十条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
エ.誤答
被相続人と別居していた配偶者であっても、配偶者居住権を行使して、同人が相続開始時には居住していなかった被相続人の所有する建物に居住することができる。
要点配偶者居住権は、相続開始の時に居住していた建物についてだけ認められる。
妥当でない。配偶者居住権は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた配偶者が、遺産分割や遺贈によって取得する権利です(民法1028条1項)。相続開始の時に住んでいなかった建物には成立しません。
この権利は、配偶者が住み慣れた住まいで生活を続けられるようにするために設けられました。建物の所有権を取得すると、ほかの遺産を受け取れず生活費が不足するおそれがあるので、住む権利だけを取得できるようにしたものです。住んでいなかった建物には、守るべき居住の継続がありません。
【民法 第1028条第1項】
(配偶者居住権)
第千二十八条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和7年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.30
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
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