2024年 国家一般職 問題30
民法親族
【No. 30】養子縁組(特別養子縁組を除く。)に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
このページでは、妥当な記述(ア〜オ)を選んで判定します。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
普通養子縁組(特別養子縁組以外の縁組)は、当事者の合意と届出によって、法律上の親子関係を新たに作る制度です。実の親との親子関係は残ったまま、養親との親子関係が加わります。
養子が未成年者のときは、子の福祉が問題になるので、家庭裁判所の許可や、夫婦がともに養親となることなどが求められます。成年者を養子にするときは、こうした子を守るための要件は課されません。
ア.誤答
縁組の養親は、20歳に達した者でなければならない。また、卑属が尊属を養子にすることはできないが、年少者が年長者を養子にすることはできる。
要点尊属や年長者は、養子にすることができない。
妥当でない。20歳に達した者は養子をすることができます(民法792条)が、尊属又は年長者は養子にできません(793条)。年少者が年長者を養子にすることはできません。尊属とは、父母、祖父母、おじ・おばのように、自分より前の世代の血族をいいます。
縁組は法律上の親子関係を作るものなので、年齢や世代の順序が親子と逆になる組み合わせは認めていません。
【民法 第792条】
(養親となる者の年齢)
第七百九十二条 二十歳に達した者は、養子をすることができる。
【民法 第793条】
(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
第七百九十三条 尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。
イ.正答
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、原則として、配偶者とともにしなければならないが、配偶者のある者が成年者を養子とするには、原則として、配偶者の同意を得れば単独ですることができる。
要点配偶者のある者が成年者を養子とするには、配偶者の同意で足りる。
妥当である。配偶者のある者が未成年者を養子とするには、原則として配偶者とともにしなければなりません(民法795条)。一方、成年者を養子とするときは、原則として配偶者の同意を得れば、単独で縁組ができます(796条)。
通説では、未成年の養子は養親に監護・教育されるので、夫婦の一方だけが養親になると、同じ家庭の中で子の立場が不安定になると解されています。成年者にはその必要がないので、縁組で家族関係や相続に影響を受ける配偶者の同意があれば足りる、という区別です。
【民法 第795条】
(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
第七百九十五条 配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
【民法 第796条】
(配偶者のある者の縁組)
第七百九十六条 配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
ウ.誤答
養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をするが、家庭裁判所の許可を得れば、この法定代理人の承諾は不要である。
要点15歳未満の者の縁組は、法定代理人が代わって承諾する。
妥当でない。養子となる者が15歳未満のときは、法定代理人が代わって縁組の承諾をします(民法797条1項。代諾)。未成年者を養子とするときの家庭裁判所の許可(798条)は、これとは別の要件で、法定代理人の承諾に代わるものではありません。
15歳未満の子は縁組の意味を自分で判断できないので、法定代理人が子に代わって意思を表します。家庭裁判所の許可は、それとは別に、縁組が子の福祉に合うかを確かめるものです。
【民法 第797条第1項】
(十五歳未満の者を養子とする縁組)
第七百九十七条 養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
【民法 第798条】
(未成年者を養子とする縁組)
第七百九十八条 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。
エ.誤答
縁組により、養子と養親及びその血族との間に親族関係が発生し、他方、養子と実親及びその血族との親族関係は全て終了する。
要点普通養子縁組では、実親との親族関係は終了しない。
妥当でない。縁組によって、養子と養親及びその血族との間に、血族と同じ親族関係が生じます(民法727条)。しかし、普通養子縁組では、実親及びその血族との親族関係は終了しません。終了するのは、特別養子縁組の場合です(817条の9)。
普通養子は、実の親子関係を残したまま、養親子関係を加える制度です。実方との関係を断つ特別養子は、実の親による監護が著しく困難又は不適当な場合などに、家庭裁判所の審判で慎重に成立させる、別の制度です。
【民法 第727条】
(縁組による親族関係の発生)
第七百二十七条 養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
【民法 第817条の9】
(実方との親族関係の終了)
第八百十七条の九 養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。
オ.正答
縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
要点当事者の一方の死亡後は、家庭裁判所の許可を得て離縁できる。
妥当である。縁組の当事者の一方が死亡した後に、生存している当事者が離縁をするには、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法811条6項。死後離縁)。
当事者の一方が死亡しても、縁組で生じた親族関係(例えば、養子と養親の血族との関係)は当然には終わりません。死後離縁はこれを終わらせるものですが、通説では、相続をした後に扶養の義務などを免れるための身勝手な離縁を防ぐため、家庭裁判所の許可を要すると解されています。
【民法 第811条第6項】
(協議上の離縁等)
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
この問題について
- 出典
- 人事院「令和6年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.30
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 本試験は、妥当な記述の組合せ(1〜5)から1つを選ぶ問題です。このページでは、妥当な記述を直接選んで判定します。
振り仮名を除いています。 - このサイトについて
- 人事院など試験の実施機関とは関係のない、非公式の問題集です。解説は当サイトが作成しています。出典と著作権について:利用規約 第6条
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