2023年 国家一般職 問題30
民法相続
【No. 30】次の事例におけるAの相続に関するB、E、G、Iそれぞれの相続額として、最も妥当なのはどれか。ただし、Aの死亡から10年を経過していないものとする。 夫婦であるA及びBには、子C、D及びEがおり、Cには、婚姻したFとの間に子Gが、Dには、婚姻したHとの間に子Iがいたが、後にCは死亡し、その2年後にAが死亡した。Aは、死亡する1年前に、Eに対して生計の資本として600万円を贈与しており、死亡時の財産は4,200万円であった。また、Dは、Aの死亡後、相続放棄をした。
解説
解答すると、正解と解説が表示されます。
相続人は、配偶者B(民法890条)、子E、死亡したCに代わって相続するGです(887条1項・2項。代襲相続)。Dは相続放棄をしたので、初めから相続人とならなかったものとみなされます(939条)。相続放棄は代襲の原因ではないので、Dの子Iも相続人になりません(887条2項)。
代襲は、子が死亡や相続欠格・廃除によって相続権を失ったときに、その子が親の受けるはずだった分を受け継ぐ仕組みです。放棄は本人が自分の意思で相続しないと決めることで、初めから相続人でなかったことになるので、その子が受け継ぐ分がありません。
Eが生計の資本として受けた600万円の贈与は、特別受益として相続財産に加え、Eの相続分から差し引きます(903条1項)。通説では、このような贈与は相続分の前渡しとみられ、計算に入れないと相続人の間で不公平になると解されています。相続開始から10年を経過した後の遺産分割ではこの計算をしないのが原則ですが(904条の3。年月がたつと贈与の資料が失われ、計算が難しくなるため)、本問はAの死亡から10年を経過していません。
みなし相続財産:4,200万円+600万円=4,800万円
B:4,800万円×1/2=2,400万円(900条1号)
G:4,800万円×1/2×1/2=1,200万円(900条4号、901条1項)
E:4,800万円×1/2×1/2-600万円=600万円
I:0円
【民法 第890条】
(配偶者の相続権)
第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
【民法 第887条第1項・第2項】
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
【民法 第939条】
(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
【民法 第903条第1項】
(特別受益者の相続分)
第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
【民法 第904条の3】
(期間経過後の遺産の分割における相続分)
第九百四条の三 前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
(略)
【民法 第900条】
(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
(略)
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
【民法 第901条第1項】
(代襲相続人の相続分)
第九百一条 第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
1.誤答
B:2,100万円、E:450万円、G:1,650万円、I:0円
2.誤答
B:2,100万円、E:700万円、G:700万円、I:700万円
3.誤答
B:2,100万円、E:1,050万円、G:1,050万円、I:0円
4.誤答
B:2,400万円、E:200万円、G:800万円、I:800万円
5.正答
B:2,400万円、E:600万円、G:1,200万円、I:0円
この問題について
- 出典
- 人事院「令和5年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)専門試験(行政区分)」No.30
人事院の試験問題を、公共データ利用規約(第1.0版)に基づいて加工し、掲載しています。 - 本試験から変えた点
- 振り仮名を除いています。
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